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リンゴ園でオオバコはミチノクカブリダニの定着に好適な下草である
[要約]
ハダニの天敵ミチノクカブリダニは、オオバコの葉に生息し、花粉を餌に繁殖できる。
[キーワード]
ミチノクカブリダニ、オオバコ、花粉、リンゴ
[担当]
秋田県果樹試験場・生産技術部
[代表連絡先]
電話0182-25-4224
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
カブリダニはハダニの主要な天敵であり、各種の農作物で防除への利用が試みられている。リンゴ園には各種の土着カブリダニが発生し、リンゴ樹上だけでなく、下草にも生息する。このため、カブリダニの定着に好適な下草の保護・繁殖によって、下草に生息しているハダニの増加が抑制され、リンゴ樹上のハダニの発生抑制効果をさらに高めることができる可能性がある。秋田県のリンゴ園に繁殖する下草のうち、オオバコの葉ではミチノクカブリダニが観察されている。本種は広食性で、花粉も摂食する。そこで、オオバコの葉における本種の生息状況と花粉の繁殖餌としての有効性を調べ、オオバコが本種の定着に好適な下草かどうかを明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- ミチノクカブリダニ雌成虫はオオバコの葉で5月下旬〜7月下旬に観察され(図1)、葉裏の葉脈沿いに多く見出される。
- オオバコの花粉を与えてミチノクカブリダニ雌成虫を21度C恒温条件で飼育すると、14日後の個体数はチャの花粉(広食性カブリダニの一般的な飼育餌)を与えた場合よりも有意に増加する(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- オオバコの花は穂状の無限花序で開花期間が長い(5〜9月)ことから、長期間ミチノクカブリダニの餌資源になる。
- オオバコは草丈が低く、耐踏性も高いため、リンゴ園におけるミチノクカブリダニ定着の下草として適している。
[具体的データ]


(舟山 健)
[その他]
- 研究課題名
- リンゴ栽培における土着天敵類を活用したハダニ管理技術の開発
- 予算区分
- 委託プロ(気象変動に対応した循環型食糧生産等の確立のための技術開発)
- 研究期間
- 2012〜2015年度
- 研究担当者
- 舟山 健
- 発表論文等
- Funayama K. and Sonoda S. (2014) Appl. Entomol. Zool. 49: 607-611.