研究所トップ≫研究成果情報≫平成26年度
ニホンナシ貯蔵花粉の順化は高湿条件により短時間で完了する
[要約]
ニホンナシ貯蔵花粉を温度20度Cかつ湿度90%程度の高湿条件下で順化させることにより、2日間を要する慣行の方法と比較して短時間で同等の発芽率が得られる。
[キーワード]
ニホンナシ、幸水、花粉貯蔵、順化
[担当]
秋田果樹試・天王
[代表連絡先]
電話018-878-2251
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
秋田県オリジナルであるニホンナシ「秋泉」の開花期は、県内に植栽されている品種の中で最も早い。そのため、受粉には前年に採取し、冷凍乾燥下で貯蔵した花粉を利用する必要がある。しかし、貯蔵花粉をあらかじめ室温下で吸湿させる慣行の方法では、順化に2日間を要するため、天候の変化等で受粉作業が急がれる場合に対応できないという問題点がある。そこで、オウトウ等で用いられている高湿順化法の適用性について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 「幸水」の貯蔵花粉は、4時間、6時間および24時間の高湿順化により、慣行の方法と同程度の発芽率を示す(表1)。
- 「長十郎」の貯蔵花粉は、4時間および6時間の高湿順化により、慣行の方法と同程度の発芽率を示す(表1)。
- 高湿順化後の「幸水」の貯蔵花粉は、4℃で保管することで発芽率の低下を抑制できる(図1)。
- 高湿順化後の「長十郎」の貯蔵花粉は、4℃で保管することで発芽率の低下を抑制できる(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 高湿順化に必要な条件(湿度90%程度)は、密閉容器に濡れタオルを入れて蓋をし、3時間程度静置することで簡易に整えられる。また、順化を行う際は、濡れタオルと花粉が直接触れないようにする。
- 高湿順化に対する反応性には、若干の品種間差がみられる。
- 高湿順化後の貯蔵花粉は、慣行の方法で順化させた場合と比較して保管による発芽率の低下が大きい。
[具体的データ]
(菅原哲平)
[その他]
- 研究課題名
- 秋田県オリジナルニホンナシ新品種「秋泉」の高品質果実安定生産技術の確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2010〜2014年度
- 研究担当者
- 菅原哲平・長澤正士・橋 功
- 発表論文等
- 東北農業研究 第67号(2014)