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ナシヒメシンクイのモモ芯折れの季節変動による発生予察手法
[要約]
モモ園におけるナシヒメシンクイ幼虫の年間の発生回数および発生時期は、モモ芯折れの発生推移に連動しており、成虫の発生時期はモモ芯折れの発生時期と発生予察式 y=35.58−0.82x(y:発育日数、x:半旬別平均気温)から予測できる。
[キーワード]
交信かく乱剤、ナシヒメシンクイ、発生予察、モモ芯折れ
[担当]
福島県農業総合センター果樹研究所・病害虫科
[代表連絡先]
024-542-4199
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
交信かく乱剤を処理した地域では、フェロモントラップによるナシヒメシンクイの捕獲効率が極めて低くなり、発生時期を正確に把握することが難しい。そこで、交信かく乱剤を処理したモモ園の内外におけるフェロモントラップに代わる発生予察手法として、ナシヒメシンクイ幼虫によるモモ芯折れ(新梢の被害症状)の発生推移から成虫の発生時期を的確に把握できる手法を確立する。
[成果の内容・特徴]
- ナシヒメシンクイ幼虫の年間の発生回数および発生時期(始期と盛期)は、モモ芯折れの発生推移に連動している(図1)。
- ナシヒメシンクイ成虫の発生時期(始期と盛期)は、モモ芯折れの発生時期と佐々木ら(北日本病害虫研報 64.214-217 (2013))による発生予察式y=35.58−0.82x(y:発育日数、x:半旬別平均気温)から予測できる。
- ナシヒメシンクイの成虫発生盛期における予測日と実測日の誤差は、第1世代では当年値(2013年)を使用した場合は+1日、平年値を使用した場合は+3日、以下同様に第2世代では+1日、±0日、第3世代では+4日、+1日、第4世代では+1日、+1日であり、誤差の範囲は4日以内である(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 本県におけるモモ芯折れの発生調査は、5月中旬から9月下旬まで5日毎に実施し、調査日毎に芯折れ部を剪除する。
- 調査対象とするモモ芯折れは、幼虫の生息する芯折れ症状(食害部から虫糞を排出、図2)とし、幼虫の生息しない芯折れ症状(食害部が黒褐色に変色し食害後7日以上経過、図2)と区別する。
[具体的データ]



(佐々木正剛)
[その他]
- 研究課題名
- ナシヒメシンクイのフェロモン剤に影響されない発生予察手法の確立
- 予算区分
- 委託(発生予察の手法検討委託事業)
- 研究期間
- 2010〜2014年度
- 研究担当者
- 佐々木正剛・星 博綱・瀧田克典