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土壌pH矯正、品種、ペーパーポット育苗を組み合わせたレタス根腐病の被害軽減
[要約]
レタス根腐病に対する耕種的な方法として、転炉スラグを用いて土壌pHを7.5程度に30cmの深さまで矯正するとともに、発生レースに応じた品種の耐病性の活用とペーパーポット育苗を組み合わせると被害軽減効果が最も高く、安定的に良品率が向上する。
[キーワード]
転炉スラグ、土壌pH矯正、品種、ペーパーポット育苗、レタス根腐病
[担当]
青森県産業技術センター農林総合研究所・病虫部
[代表連絡先]
電話0172-52-4314
[区分]
東北農業・生産環境(病害虫)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
東北地域では2009年頃から青森県の一部の圃場でレタス根腐病が発生し、夏秋どり栽培で夏季高温年ほど甚大な被害が生じている。本病に対しては数種土壌消毒剤が農薬登録されているが、クロルピクリンくん蒸剤の使用による窒素バランスの変化で生育異常球が多くなるという報告があることや、発生圃場の規模・立地条件等からも、土壌消毒剤の使用以外の対策が望まれている。そこで、転炉スラグを用いた土壌pH矯正と数種耕種的方法の組み合わせによる本病の被害軽減効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 転炉スラグを用いて土壌pHを7.5程度に30cmの深さまで矯正することで、レタス根腐病の被害を軽減することができる(図1)。その際、発生しているレースの種類に応じた品種の耐病性(図1中では「サウザー」以外がレース1に耐病性を有する)を活用すると効果的である。なお、品種の選定に際しては、作型や地域で求められる品種特性(晩抽性、耐暑性、形、色)等を十分考慮する必要がある。
- 一般的な育苗方法のうち、セルトレイ育苗よりもペーパーポット育苗を行うと定植時に根が傷みにくく、レタス根腐病の被害を軽減することができる(図2)。さらに、転炉スラグによる土壌pH矯正を組み合わせると効果的である(図2)。
- レタス根腐病に対する耕種的な方法として、@転炉スラグを用いた土壌pH矯正、A 品種の耐病性の活用およびBペーパーポット育苗を組み合わせると被害軽減効果が最も高く(表1)、安定的に良品率が向上する(表1)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:レタス生産者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東北地域等のレタス根腐病発生地域
- その他:転炉スラグの施用量は矯正前のpHや土壌の種類によって大きく異なるので、必ず緩衝能曲線の作成結果に基づいて決定する。具体的な方法は「農研機構(2015):農食事業(課題番号24015)研究成果集」を参照する。なお、本成果では根の分布にあわせた深めの矯正を行うことで(刃渡り20cmのロータリーでゆっくりと深めに耕起すれば可能)、4年・8作目終了時でもpH7.5程度を維持している。一般的な矯正の深さは15cmとされているが、矯正深と被害軽減効果との関係については今後の検討課題である。
[具体的データ]
(地方独立行政法人 青森県産業技術センター農林総合研究所)
[その他]
- 研究課題名
- 土壌pH矯正に品種耐病性・キチン質資材等の利用を併用したレタス根腐病の被害軽減技術の開発と実証
- 予算区分
- 農食事業(転炉スラグ)
- 研究期間
- 2012〜2014年度
- 研究担当者
- 岩間俊太(青森農林総研)、倉内賢一(青森農林総研)、門田育生
- 発表論文等
- 岩間ら(2014)北日本病虫研報、65:85-92