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土壌溶液中カリウムイオンによる玄米中放射性セシウム推定の現地実証
[要約]
福島県内避難指示区域の除染後水田において移植前後の土壌溶液中カリウムイオン濃度が7mg/L以上あれば、玄米中放射性セシウム濃度は食品の基準値(100Bq/kg)以下となる。
[キーワード]
土壌溶液、カリウムイオン、放射性セシウム、玄米、現地実証
[担当]
福島県農業総合センター・生産環境部(福島市駐在)
[代表連絡先]
電話024-593-6174
[区分]
東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
これまでに玄米中放射性セシウム吸収抑制対策として土壌中交換性カリ含量を高めることの有効性が明らかにされたが、さらに迅速・簡易かつ栽培早期の測定による玄米中放射性セシウム濃度の推定技術が求められている。そこで、福島県農業総合センターは、震災直後に高濃度の放射性セシウムを含む玄米が出た現地ほ場における調査結果から、移植前の土壌溶液中カリウムイオン濃度が7mg/L以上あれば、玄米中放射性セシウム濃度は基準値(100Bq/kg)以下になることを明らかにした(2013年度研究成果情報)。そこで、福島県内避難指示区域の除染後水田において現地実証を行い、その妥当性を検証した。
[成果の内容・特徴]
- 各調査ほ場とも土壌溶液中カリウムイオン濃度(平成25年は代かき後〜移植直前、平成26年は移植後5日以内に調査)は概ね7mg/L以上あり、玄米中放射性セシウム濃度は食品の基準値100Bq/kgを大きく下回る(図1)。
- 移植後5日以内の土壌溶液試料でも玄米中放射性セシウム濃度の診断には有効である(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 本田の代かきから移植直後の時期に玄米中放射性セシウムの基準値超過リスクの診断ができる。
- 避難指示区域内にある現地調査ほ場(8カ所)は、モデル除染が実施され、水稲作付 けにあたり放射性セシウム吸収抑制対策としてカリ資材が施用された(表1)。
- 本調査の土壌溶液採取は、ミズトールDIK-8392(Daiki)を用い条間5cm深にて行った。
[具体的データ]


(福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 除染水田における放射性セシウム動態の解明
- 予算区分
- 委託プロ(除染プロ)
- 研究期間
- 2013年〜2014年度
- 研究担当者
- 鈴木幸雄、齋藤 隆、高橋和平