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黒毛和種妊娠牛の冬期屋外飼養技術
[要約]
黒毛和種妊娠牛の冬期屋外飼養は、最低気温に応じた増給を行うことで、分娩後の繁殖成績や産子の発育状況に影響を与えない。また、管理時間は屋内飼養と比較して軽減される。
[キーワード]
冬期屋外飼養、黒毛和種妊娠牛、規模拡大
[担当]
岩手県農業研究センター畜産研究所・外山畜産研究室
[代表連絡先]
電話019-681-5011
[区分]
東北農業・畜産飼料作
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
繁殖経営の規模拡大には畜舎の増築のために、多額の資金と労力が必要となり、規模拡大を阻む要因となっている。その解決方法として妊娠牛の屋外飼養方法が考えられるが、その冬期の管理方法については明らかになっていない。そこで、黒毛和種妊娠牛の冬期屋外飼養方法を確立するために、飼料増給方法、分娩後の繁殖成績、産子の発育および管理時間を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 黒毛和種妊娠牛(妊娠確認後から分娩1か月前)の冬期屋外飼養は、最低気温に応じエネルギー充足のためのコーンサイレージ(以下CS)や圧ぺんトウモロコシの飼料の増給(表1)を行うことで、分娩後の繁殖成績、産子の雌雄別生時体重、日増体量に影響を与えない(表2)。給与量の変更は、最低気温が低下する時は設定温度以下となった日に行い、気温が上昇する時は設定温度を超えた日が5日間以上続いた日に行う。
- 沢水利用等で、給水施設の凍結防止対策の実施が不可能な場合には、円形水槽への配管の工夫により、厳冬時でも水槽の全面凍結を防ぐことが可能である(図1)。
- 冬期屋外飼養は敷料交換作業が不要であり、屋内飼養と比べて管理時間が少ない(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 冬期屋外飼養では、CS収穫後の畑地に隔障物(電気牧柵)を使用し、冬期屋内飼養は、フリーバーン牛舎を用い、分娩1か月前からは牛舎内で通常の管理を行った。
- 産子は4日齢で母子分離し、人工哺育を実施した。
- 乾草給与には草架、CS給与には飼槽を用い、飼槽は食い負け防止のため70cm/頭以上の幅を必要とする。
- 草架や水槽の周辺は初冬期、早春に泥濘化する危険性があり、草架、水槽の移動等の対策が必要である。
- 人工授精対象や闘争順位の低い繁殖牛および子牛は、別途適正な飼養管理が必要である。
- 10頭の増頭を想定した場合、施設整備費は冬期屋外飼養で160平方メートルの電気牧柵設置に24.5〜27万円、冬期屋内飼養で160uの簡易牛舎建築が400万円である。
[具体的データ]




(佐々木正俊)
[その他]
- 研究課題名
- 黒毛和種の妊娠中後期における冬期屋外飼養技術の確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2012〜2014年度
- 研究担当者
- 佐々木正俊