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フェストロリウムのフェスクゲノム構成率推定に必要なサンプルサイズ
[要約]
フェストロリウム品種のフェスクゲノム構成率(f ratio)を±5ポイントの範囲で有意水準5%で推定するには7個体程度を、各個体のf ratioを±2.5ポイントの範囲で有意水準5%で推定するには、4〜5枚の染色体画像を調査すればよい。
[キーワード]
f ratio、GISH、フェストロリウム、雑種
[担当]
東北農業研究センター・畜産飼料作研究領域
[代表連絡先]
電話019-643-3563
[区分]
東北農業・畜産飼料作
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
フェスク属とロリウム属の属間雑種牧草であるフェストロリウムのフェスクゲノム構成率(以下、f ratio)は、ゲノミックin situ ハイブリダイゼーション法(GISH)と画像解析法を組み合わせることで算出できる(図1)。このf ratioを育種選抜の指標として用いるためには、表現型との比較を行いデータを蓄積する必要がある。しかし、他殖性のため遺伝的にヘテロな個体で構成されるフェストロリウム品種のf ratioを推定するには、何個体を調査すればよいか全く情報がない。本課題ではf ratioの品種間変異および品種内変異を調査し、品種または各個体のf ratioを推定するのに必要なサンプルサイズを明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 供試した5品種の中で最も多くの個体を調査した品種「イカロス」の不偏分散を考慮すると、品種のf ratioを±5ポイントの範囲で有意水準5%で推定するには7個体程度を調査すればよく、「Evergreen」、「Paulita」、「Tandem」間には有意差がみられる(表1)。
- 供試した各品種の中で最もf ratioの誤差が大きい個体の不偏分散を考慮すると、各個体のf ratioを±2.5ポイントの範囲で有意水準5%で推定するには、4〜5枚の染色体画像を調査すればよい(表2)。
- 品種「イカロス」および「Evergreen」はf ratio = 0の個体を含み、供試した5品種の中では品種内変異が大きい(表1)。
- f ratioは数値化できるため、表現型との比較(図2)は極めて容易である。
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[成果の活用面・留意点]
- 品種間または個体間で、表現型とf ratioを比較する場合に有効な情報となる。
- 必要なサンプルサイズは統計的区間推定の逆計算により算出する。
n ≧ (2k CI-1)2 × s2
n=サンプルサイズ、k=正規分布の棄却限界値、CI=信頼区間、s2=母分散
- 推定区間の範囲と有意水準により必要なサンプルサイズは異なる。
- f ratioの算出方法については「フェストロリウムにおけるフェスクゲノム構成率の算出法」(農研機構2010年度普及成果情報:http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/tarc/2010/tohoku10-05.html)を参照されたい。
[具体的データ]
(久保田明人)
[その他]
- 研究課題名
- 飼料作物の有用育種素材および選抜マーカー等の開発
- 予算区分
- 交付金
- 研究期間
- 2009〜2014年度
- 研究担当者
- 久保田明人、秋山征夫、上山泰史、藤森雅博
- 発表論文等
- Kubota A. et al. (2014) Grassl. Sci. 61(1):15-23