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回転ノズルを活用した調製機によるヤマノイモ調製作業の改善
[要約]
圧縮空気を広範囲に作用させる回転ノズルが固定された調製機によるヤマノイモ調製では、作業者が対象物を両手で把持することができ、労働負荷の大きい腕や手首の反復動作が減少する。調製作業時間と空気使用量は、エアガンを用いた慣行作業と同等である。
[キーワード]
回転ノズル、ヤマノイモ、調製作業、労働負荷、反復動作
[担当]
秋田県農業試験場・野菜・花き部
[代表連絡先]
電話018-881-3330
[区分]
東北農業・農業生産基盤(作業技術)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
秋田県のヤマノイモ(ツクネイモ)栽培では、定植から収穫までの機械化作業体系が確立されつつある。しかし、ヤマノイモは傷つきやすいため、調製作業で水やブラシによる土や埃の清浄が行えず、圧縮空気が用いられる。慣行の調製作業は、一方の手で対象物を把持して、もう一方で圧縮空気を噴射するエアガンを持った状態で1個ずつ行われる。慣行のエアガンは、圧縮空気を局所的に作用させるため、手首を回転させたり、腕を振ったりする長時間の反復動作が必要になる。この作業は、労働負荷が大きく頸肩腕障害も懸念され、生産者から改善要望がある。
そこで、調製作業の改善を目指して、圧縮空気を対象物に広範囲で作用させる回転ノズルを固定し、ヤマノイモを両手把持可能な調製作業機による作業改善を試みた。
[成果の内容・特徴]
- ヤマノイモ調製作業機は、圧縮空気を広範囲に作用させる回転ノズルが本体フレームに固定され、対象物を検出する近接センサと入切弁(電磁式)により、圧縮空気を入切することができる。この作業機は、エアガンを持たずにヤマノイモを両手で把持して調製作業が行える。また、車輪による移動が可能で、ヒータが装備され、ヤマノイモの調製作業を行う低温環境下(約10度C以下)でも回転ノズルをスムーズに動作させることができる(図1、改良作業)。
- 改良作業における手首の回転回数は、慣行作業より8〜39%減少する(図2左)。慣行作業では、ヤマノイモ10個当たり17〜74秒エアガンを手振りし調製しているが、改良作業では、作業機に固定した回転ノズルでエアを広範囲に作用させるため、手振り動作がなくなる(図2右)。
- 改良作業のヤマノイモ10個当たりの調製作業時間は、平均70.2秒(53.9〜84.7秒)で、慣行作業と同等である。また、改良作業の10個当たりの空気使用量は平均145.6L(100〜216.7L)で、慣行作業と同等である。(表1)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:ヤマノイモ生産農家。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:ヤマノイモ生産者に普及予定。
- その他:
本成果の改良作業機は潟}ツモトと共同で開発を行い、同社から市販されている。
型式:MCV-2型(電源AC100V)、価格:220,000円(税別)である。
圧縮空気を用いて調製するヤマウド等にも適応できる。
[具体的データ]



(秋田県農業試験場)
[その他]
- 研究課題名
- 秋田の顔となる野菜のブランド化と安定生産を支援する新栽培技術の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2011〜2014年度
- 研究担当者
- 齋藤雅憲、進藤勇人、潟}ツモト、本田邦俊(北秋田地域振興局)