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大粒干しブドウ乾燥の目安と乾燥時間の短縮法

[要約]

大粒品種のブドウを乾燥させる場合、重量比が25%程度以下まで、又は糖度が65(Brix%)程度以上まで乾燥させると水分活性(Aw)がおおよそ0.8を下回る。また、乾燥前に皮に亀裂が入る程度に粒を熱水処理すると乾燥時間を短縮することができる。

[キーワード]

大粒ブドウ、乾燥、水分活性

[担当]

福島県農業総合センター・流通加工科

[代表連絡先]

電話024-958-1719

[区分]

東北農業・農業生産基盤(流通加工)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

大粒品種の干しブドウを製造する際、一般的なカビの生育限界である水分活性(Aw0.8)まで乾燥させることが目安になるが、測定には専用の機器が必要となることから、乾燥時の重さ又は糖度を測ることによって、乾燥終了のタイミングを判断できるようにすることを目指したものである。複数の大粒系品種を用いて乾燥時の重量並びに糖度と水分活性の関係を明らかにする。

また、乾燥時間を短縮する前処理方法を「あづましずく」を用いて明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 重さをそろえたブドウの粒を半分に切り、食品用小型乾燥機(熱風乾燥)60度Cで乾燥させると、いずれの品種でも乾燥前後の重さの比(重量比(%)=100×(乾燥後重量)/(乾燥前重量))と水分活性の変化の傾向はほぼ同じで、重量比が概ね25%程度になると一般的なカビの生育限界である水分活性(Aw0.8)を下回る(図1)。
  2. 糖度と水分活性の関係は、いずれの品種でも糖度が概ね65(Brix%)を超えると水分活性(Aw)が0.8を下回る(図2)。
  3. ブドウ「あづましずく」において、粒をブドウの5倍重量の熱水(沸騰水)に浸漬処理(皮に亀裂が入る程度)してから乾燥させると、重量比25%に達するまでに要する時間は無処理の72時間に対して、48時間弱となり、乾燥時間を3分の2以下に短縮することができる(図3)。ただし、乾燥機の性能や生果実の状態によって乾燥時間は変わるので、乾燥時間はあくまでも参考である。
  4. 熱水処理と無処理を同等の水分活性まで乾燥させて官能試験を行ったところ、色は熱水処理の方が有意に好ましく、味や食感の好ましさに有意差はない(表1)。

[普及のための参考情報]

  1. 普及対象:ドライフルーツ加工事業者等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:-
  3. その他:-

[具体的データ]

(福島県)

[その他]

研究課題名
地域産業6次化推進のための県産農産物の加工技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2011〜2014年度
研究担当者
佐藤真理