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FOEAS導入経営モデルと導入時の留意項目
[要約]
津波被害地域では、復興のほ場整備に併せてFOEAS(地下水位制御システム)の設置が計画され、それに伴って土地利用型野菜(ブロッコリーなど)の新規導入が検討されている。80ha規模の経営体が土地利用型野菜を新規品目として導入する場合、既存品目とのほ場競合の回避、収穫時の十分な労働力確保、単位あたり収量確保が必要となる。FOEAS導入及び新規品目の導入についてのそれぞれ8項目を留意項目として示す。留意項目を地域で共通認識することによって、FOEASほ場の利用が図られ、地域農業振興につながる。
[キーワード]
FOEAS、集落営農、経営モデル、留意事項
[担当]
企画経営部 経営・農作業科
[代表連絡先]
電話024-958-1714
[研究所名]
福島県農業総合センター
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
津波被害地域をはじめとして基盤整備が計画されている地域では、ほ場整備に併せて
FOEAS(地下水位制御システム)の設置が計画され、それに伴って、従来の稲作に畑作物(大豆等)、土地利用型野菜(ブロッコリーなど)の新規導入が検討されている。FOEASを現地ほ場に設置しての実証試験結果から、経営モデルを組み立て、新規品目(土地利用型野菜)の導入条件を示す。また、FOEAS及び新規品目の導入に向けての留意項目を整理する。
[成果の内容・特徴]
試験栽培では、既存品目(大豆、小麦)と新規品目(ブロッコリー)間にほ場占有期間の競合が生じるため、ブロッコリーの収穫時期を前進させた想定営農プロセスを設定し(表1)、試算を行った(使用ソフト:XLP、その後試算計画)。実際に目標を成立させるためには、導入品目等を組み込んでも無理のない営農プロセスを確立させる必要がある。
- 経営モデルの試算から、土地利用型野菜(ブロッコリー)を導入するためには、
(1)既存品目とのほ場競合の回避
(2)収穫時の十分な労働力の確保
(3)新規導入品目の単位あたり収量確保が必要となる(表1)。
経営体が必要な時に、必要な量の臨時労働力の確保と、単位あたり収量の確保があるとき、水田作に土地利用型野菜(ブリッコリー)が導入可能となる。
- FOEASの導入及びそれに伴っての新規品目導入の場合については、それぞれの8つの留意事項にまとめられる。
導入に向けての留意項目は、これからFOEAS導入、新規品目の導入を検討する際の参考となる。また、地域で共通認識を持つことによって、FOEASほ場の有効利用から地域農業振興につながる。
- 提示した経営モデル実現のためには、想定した営農プロセスと合致した作期となるように計画的な営農が必要である。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:福島県内のFOEASの導入を検討している地域
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:福島県浜通り地方
- その他:基盤整備でFOEASを導入予定の地域でほ場整備終了以降の適用
[具体的データ]



(岡本和夫)
[その他]
- 中課題名
- 「FOEAS」を活用した津波被害地域農業生産システムの高度化
- 中課題番号
- 予算区分
- 委託(イノベーション創出基礎的研究推進事業 2012〜2013年度)
- 委託(農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業 2014年度)
- 研究期間
- 2012〜2014年度
- 研究担当者
- 岡本和夫
- 発表論文等
- なし