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中山間地向け多収の良質良食味水稲新品種候補「福島30号」の育成
[要約]
水稲「福島30号」は、福島県では「あきたこまち」より2日遅い“中生の早”の粳品種で、いもち病圃場抵抗性が、「あきたこまち」より明らかに強い。収量性は「あきたこまち」より優り、良質で、食味は「あきたこまち」並に良好である。
[キーワード]
イネ、福島30号、いもち病抵抗性、良質、良食味
[担当]
福島県農業総合センター・作物園芸部・浜地域研究所
[代表連絡先]
電話024-958-1721
[区分]
東北農業・稲(稲品種)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
福島県の中山間地で多く作付けされている品種は、「あきたこまち」である。しかし、「あきたこまち」は耐冷性が弱く障害型冷害の危険性が懸念される。また、いもち病抵抗性が弱いことからいもち病の多発による収量・品質低下が懸念される。そこで、「あきたこまち」より多収で、いもち病抵抗性、耐冷性が優れる品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
- 水稲「福島30号」は、「あきたこまち」熟期の良質良食味品種育成を目標に2003年に、「新潟71号(後のゆきん子舞)」を母に、「福島14号」を父として人工交配を行い、その後代から育成された品種である(表1)。
- 出穂期および成熟期は「あきたこまち」より2日遅く、育成地では“中生の早”に属する粳品種である(表1)。
- 稈長は「あきたこまち」、「ひとめぼれ」並の“中稈”で、穂数は「あきたこまち」並である。草型は“偏穂数型”で、耐倒伏性は「あきたこまち」、「ひとめぼれ」に優る“やや強”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は“+”と推定され、圃場抵抗性は、葉いもちが“やや強”、穂いもちが“強”である。障害型耐冷性は“強”、穂発芽性は“やや難”である(表1)。
- 玄米千粒重は「あきたこまち」に比べ大きく、収量性は「あきたこまち」に優る。玄米外観品質は、白未熟粒の発生が少なく、「あきたこまち」、「ひとめぼれ」より整粒歩合が高く、良質である(表1、図1)。
- 玄米蛋白質含有率、白米アミロース含有率、味度値ともに「あきたこまち」並で、食味総合評価は「あきたこまち」並の良食味である(表1、表2)。
[普及のための参考情報]
- 福島県の中山間地(標高300m以上)での作付けが見込まれる。
- 近年、カメムシによる斑点米が多いことから、一般害虫とともに適期防除を行う。
[具体的データ]



(福島県農業総合センター)
[その他]
- 研究課題名
- オリジナル品種開発導入事業(水稲)、新需要対応オリジナル水稲品種開発事業
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2011年度〜2014年度
- 研究担当者
- 佐藤弘一、佐々木園子、渡邉洋一、朽木靖之、齋藤隆、小林伸英、吉田直史、大寺真史、手代木昌宏、大谷裕行、木田義信、江上宗信、浜名健雄、佐藤淳平
- 発表論文等
- なし