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アイメック(R)栽培による高糖度ミディトマトの栽培

[要約]

アイメック(R)栽培では収穫中期以降糖度が高く推移し,栽培終期には糖度が10〜11となる。株当たりの収量が慣行と比べ低くなり、7010株/10aで栽培した場合10a当たりの収量は約11〜13tとなる。また、栽培期間中のかん水量は慣行と比較して少なくなる。

[キーワード]

ミディトマト、高糖度、節水、アイメック栽培

[担当]

宮城県農業・園芸総合研究所・園芸栽培部

[代表連絡先]

電話022-383-8132

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

ミディトマトは、大玉トマトのように高糖度トマト栽培の知見や事例がほとんどない。「アイメック(R)栽培」(メビオール株式会社製、以下アイメック栽培と表記)は少量培地の養液栽培システムのひとつで、ハイドロゲルの薄いフィルムを用いた栽培法として開発された。東日本大震災被災地域で土耕栽培が難しくなった地域が有るが、この栽培法は隔離床での栽培で、低潅水量かつ廃液が出ず、高糖度果実生産の可能性があったことから、アイメック栽培のミディトマトの収量、品質等について明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. アイメック栽培では定植1ヶ月後から栽培終了までの潅水量が、慣行の養液栽培(以下、慣行と表記)に比べて少なく、1株当たりの潅水量で比較すると約1/10である(図1)。10a当たりの栽植本数はアイメック栽培で7,010株、慣行で3,120株あるが、この場合のa当たりの潅水量は慣行の約1/5となる。
  2. 果実糖度は、収穫開始から11月までは慣行と同程度〜やや高く推移し、12月以降は慣行より糖度が高くなり、5〜6月は約10〜11となる(表1)。
  3. アイメック栽培では、1果当たりの重量は慣行の約5〜6割と軽く、株当たり収量が約3割となり、周年栽培した場合の10a当たりの商品果収量は約11〜13tで慣行の7割程度である。収穫段数は、アイメック栽培では慣行より7〜8段少なくなる(表2)。
  4. 果実硬度は、慣行と比較してやや高い〜高くなる(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 2013-2014年の耕種概要は、アイメック栽培は播種2013年5月27日(128穴セルトレイ)、定植6月20日、慣行は播種日2013年5月27日、鉢上げ6月20日、定植7月1日。ともに摘芯2014年4月17日、収穫終了2014年6月18日。調査株数はアイメック栽培は各9株×2反復、慣行は各18株、反復無し。1本仕立て、つる下ろし誘引とし2013年11月27日から2014年4月20日までRA-434Kを用いて日の出から5時間CO2施用を行った。
  2. 2012-2013年の耕種概要は、播種2012年2月24日(128穴セルトレイ)、定植3月22日、摘芯2013年4月1日、収穫終了2013年4月30日。調査株数各20株、反復無し。1本仕立て、つる下ろし誘引を行った。

[具体的データ]

(宮城県農業・園芸総合研究所)

[その他]

研究課題名
震災復興プロジェクト「産地復興に向けた新たな技術等の開発」
みやぎ発信型の新規園芸品目の定着技術の確立
予算区分
受託(復興交付金)、県単
研究期間
2012〜2013年度
研究担当者
日向真理子、高野岩雄