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ヘアリーベッチの緑肥すき込みにより、窒素無施用でエダマメが栽培できる
[要約]
ヘアリーベッチを秋季に播種し、根粒が着生してから越冬させると、融雪後旺盛に生育し、5月下旬から6月上旬には約2〜3kg/平方メートルの草量が得られる。これを緑肥としてすき込みエダマメを栽培すると、窒素無施用でも慣行と同程度の収量・品質が得られる。
[キーワード]
ヘアリーベッチ、緑肥、エダマメ、窒素無施用
[担当]
秋田県農業試験場・野菜・花き部・野菜担当、生産環境部・土壌基盤担当、秋田県立大学
[代表連絡先]
電話018-881-3330
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
ヘアリーベッチはマメ科の緑肥作物として早春〜初夏の作型で利用されるのが一般的である。ただし秋田県のような積雪寒冷地では生育が遅く、緑肥利用が困難である。近年、ダイズ作でヘアリーベッチ晩生種を用い、前年の秋季(9月下旬〜10月上旬)に播種し、降雪まである程度生育させて根粒を着生させ、越冬・消雪後からダイズの播種期(6月上旬)までに草量を確保し、緑肥として地力向上に利用する技術が確立されている。
ヘアリーベッチは根粒菌により窒素固定することから、緑肥利用で窒素肥効が期待できる。そこで畑地でエダマメ栽培の休耕期間にヘアリーベッチを植栽し、窒素無施用でエダマメを栽培し、生産性や品質を検討する。
[成果の内容・特徴]
- ヘアリーベッチ晩生品種を9月下旬に4kg/10a播種すると、越冬前に100株/平方メートル以上、100〜300g/平方メートルに生育する。融雪後生長を再開し、5月下旬から6月上旬には新鮮重で約1,800〜3,200g/平方メートルに達し、緑肥利用で9〜16g/平方メートルの窒素がすき込まれる(表1)。
- ヘアリーベッチをすき込んで窒素無施用でエダマメを栽培したところ、慣行と比較して2013年は初期から生育が劣るが収穫期の株重は同程度である(表2)。2014年は慣行と比較して初期から生育が勝り、収穫期には同等以上になる(表3)。
- ヘアリーベッチをすき込みし、窒素無施用で栽培したエダマメの商品収量は2013年、2014年とも慣行と同等で、両年とも当品種の目標収量(600〜800kg/10a)を上回っている(表4)。
- ヘアリーベッチをすき込みし、窒素無施用で栽培したエダマメの商品莢割合、内部品質は両年とも慣行と同等である(表4)。
[成果の活用面・留意点]
- エダマメは、ヘアリーベッチが十分に繁茂し、目標草量(1,700g/平方メートル以上)が確保できる5月下旬以降に播種する作型が適する。
- ヘアリーベッチ植栽歴がない畑にヘアリーベッチを播種する場合、根粒菌接種資材(商品名:まめっち)を種子にコーティングすることが必要である。
- ヘアリーベッチをすき込む際は、フレールモアなどで細断し、数日風乾後に行う。
- 当試験で用いた圃場は、秋田農試内の水田転換畑で、排水を良好にするため、本暗渠に籾殻補助暗渠を2.5m間隔で直交敷設したものである。
[具体的データ]




(秋田県農業試験場)
[その他]
- 研究課題名
- 排水不良転換畑における緑肥植物と籾殻補助暗渠による大豆・エダマメ多収技術の確立
- 予算区分
- 農食研究推進事業
- 研究期間
- 2012〜2014年度
- 研究担当者
- 武田悟、本庄求、篠田光江、中川進平、石田頼子、新井正善、佐藤孝(秋田県大)
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