研究所トップ≫研究成果情報≫平成26年度
トマト養液栽培の給液を効率化する日射比例・早朝給液管理
[要約]
トマト養液栽培において、定植後日数によって単位積算日射量当たり給液量を増やす日射比例制御と早朝の少量給液を組み合わせた管理は、設定条件を開始時設定から変更することなく栽培でき、収量を維持しながら総給液量と排液量を削減できる。
[キーワード]
トマト、養液栽培、日射比例制御、定植後日数、早朝給液
[担当]
秋田県農業試験場・野菜・花き部・野菜担当
[代表連絡先]
電話018-881-3330
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
かけ流し式の固形培地耕養液栽培では、給液管理法として、タイマー制御や日射比例制御、培地水分制御などが行われている。日射比例制御による給液管理では、トマトの生育にあわせて給液量を変更する必要がある。また、曇雨天日が連続すると給液回数の減少や給液開始時刻の遅れにより培地が乾燥化する危険性がある。そこで、単位積算日射量当たりの給液量を定植後日数により増加させた日射比例制御と早朝の少量給液を組み合わせた日射比例・早朝給液により、栽培期間中に給液条件の変更を行わない管理を可能にするとともに、栽培の安定化を図る。
[成果の内容・特徴]
- 日射比例・早朝給液は、毎日7時に株当たり200mLを与える少量給液と日射比例制御を組み合わた方法である。日射比例制御は、単位積算日射量当たりの給液量を定植後日数により増加させ、7月下旬以降に単位積算日射量当たり一定とする条件で給液することが特徴である(図1、2)。
- この給液管理は、5月上旬に定植する夏秋作型において、制御を開始する3段花房開花期以降、給液条件を開始時設定から変更することなく栽培できる(図2)。
- 日射比例・早朝給液の総給液量は160Lであり、タイマー制御により株当たり3Lを施用する給液管理の244Lに比べ34%削減される。総排液量は38Lであり、タイマー制御により株当たり3Lを施用する給液管理の82Lに比べ54%削減される(図3)。
- 日射比例・早朝給液の収量は、タイマー制御により株当たり3Lを施用する給液管理と同等であり、タイマー制御により株当たり2Lを施用する給液管理に比べ増収する。障害果の発生程度は、タイマー制御により株当たり3Lを施用する給液管理と同等である(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 日射比例制御は、屋外で計測した積算日射量2.4MJ/平方メートル当たり1回給液した。
- この成果は、POフィルムを被覆したパイプハウスで5月上旬に定植する夏秋作型での結果であり、遮光率の異なる施設での栽培や他の作型に適用する場合は、給液条件を再度設定する必要がある。
[具体的データ]




(秋田県農業試験場)
[その他]
- 研究課題名
- 「秋田の顔となる野菜」のブランド化と安定生産を支援する新栽培技術の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2012〜 2014年度
- 研究担当者
- 林 浩之、今野かおり、新井正善