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トマト2本仕立てによる低コスト良質ポット苗の生産技術
[要約]
トマト苗生産で本葉の第1節側枝と第2節側枝による2本仕立て苗は、2次育苗時に本葉3〜4枚の苗を第2節上で摘心し本葉第2葉を摘葉する。これにより生育が均一化し収量性の高い2本仕立て苗が生産できる。苗の生産費は1本仕立て苗より48%減少する。
[キーワード]
トマト、2本仕立て苗、低コスト、ポット苗
[担当]
山形県農業総合研究センター園芸試験場・野菜花き部
[代表連絡先]
電話0237-84-4125
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
近年のトマト栽培は育苗の省力化や種苗コストの低減化を図るため、2本仕立て苗の導入や2本仕立て栽培が増加しているが、気象変動や技術レベルにより生育が不安定で、減収する事例がある。そこで、ハウス育苗で成苗率が高い本葉の第1節側枝と第2節側枝による2本仕立てポット苗について、良質苗の生産技術を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 育苗時の処理は、2次育苗時に3〜4葉期の苗を第2節上で摘心し、同時に第2節の本葉を摘葉する。これらの処理により第1節側枝と第2節側枝の生育が均一化し、収量性の高い2本仕立て苗が生産できる(図1、表1)。
- 本技術は低温期の温床利用育苗、高温期の無加温育苗等に適応でき、1本仕立て苗と同等の収量が見込まれる(表2)。
- 2本仕立てポット苗(9cmポット)の生産に係る変動経費は、株当たり41.9円で、主枝1本当たり20.9円に試算される。この場合、通常の1本仕立てポット苗より48%減少する(表3)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:トマト生産者、種苗業者
- 普及予定地域:全国トマト産地
- 閉鎖型苗生産システムを利用したセルトレー苗の生産方法は、別途平成26年度普及成果情報(閉鎖型苗生産システムを利用した2本仕立てトマト苗の低コスト良質苗生産方法)を参照する。
- 供試苗の収量性は、ヤシ殻培地耕による低段密植栽培(3段栽培)で評価した。
- 購入セル苗を用いる場合は、若齢期苗(72または128穴セルトレー苗)を購入し、4葉期までに鉢上げし、摘心・摘葉作業を行う。摘心が遅れると、側枝の生育不良によって減収する場合があるので注意する。
- 本技術による2本仕立て苗は、「りんか409」(周年)、「りんか409/Bバリア」、「みそら64」(周年)、「麗容」(低温期)、「桃太郎セレクト」(周年)、「桃太郎ヨーク」(周年)、「シンディスイート」(低温期)、「フルティカ」(低温期)、「カンパリ」(低温期)で試作し、3段栽培の生産性を確認している。
[具体的データ]




(山形県)
[その他]
- 研究課題名
- トマト低段栽培用の良苗生産技術の確立
- 予算区分
- 受託(食料生産地域再生のための先端技術展開事業)
- 研究期間
- 2012〜2014年度
- 研究担当者
- 大木 淳、丸子武志、石山久悦
- 発表論文等
- 大木ら(2014)東北農業研究67 107-108