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ニンニク周年供給のための収穫後処理技術
[要約]
適切な収穫後処理(テンパリング乾燥→-2度C貯蔵→高温処理)により高品質なニンニクを周年供給できる。夜間無加温のテンパリング乾燥は連続加温乾燥より低コストで貯蔵後の障害発生が少ない。時期別に最適化された高温処理により貯蔵終了後の根の伸長を抑制できる。
[キーワード]
ニンニク、貯蔵、乾燥、高温処理、周年出荷
[担当]
業務需要畑野菜作・夏秋期野菜生産
[代表連絡先]
019-641-7136
[区分]
東北農業研究センター・畑作園芸研究領域
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
ニンニクの周年供給は、収穫したりん茎を乾燥処理後に貯蔵し、これを計画的に出荷することにより行われる(図1)。国産ニンニクの約7割を生産する青森県では、2001年以前には根、芽の伸長を抑制する植物成長調整剤(主成分:マレイン酸ヒドラジドコリン)が利用され、常温でりん茎の貯蔵が行われていた。しかし、2002年にこの剤の使用が禁止されたことから、制御環境下での貯蔵が導入された。そこで、薬剤を使わずにニンニクの品質を長期間保持するために最適な貯蔵条件およびこの貯蔵条件に適合する乾燥条件を明らかにする。また、薬剤の不使用によって新たに必要となった、貯蔵終了後の根の伸長を抑制する高温処理法について、実用性に優れた処理条件を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 収穫後、テンパリング乾燥(昼間約34度C加温、夜間無加温、終日通風の乾燥)したりん茎は、慣行乾燥(終日約34度C加温、通風の乾燥)したりん茎に比べて-2度C貯蔵後の障害の発生が少ない(表1)。
- テンパリング乾燥は慣行乾燥に比べて乾燥仕上がりまでに1週間程度長い期間を要するが、消費電力量は慣行乾燥の約6割に削減できる(表1)。
- 貯蔵中の根、芽の伸長停止には-1度C以下、凍結の回避には-3度C以上、変色やくぼみなどの障害の回避には-2度C以上での貯蔵が適する(表2)。-3〜-1度C貯蔵後の芽の伸長は貯蔵温度が低いほど抑制される(表2)。これらを総合すると、長期間の品質保持には-2度Cでの貯蔵が最も適する。
- -2度C貯蔵から出庫したりん茎に高温処理を行うことにより、その後の常温での根の伸長を抑制できる。実用的な高温処理条件(温度、時間)は出庫時期によって異なる(図2)。
- 以上の収穫後処理(テンパリング乾燥→-2度C貯蔵→高温処理)を行うことにより高品質なニンニクを周年供給できる。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:ニンニクの生産者、貯蔵請負業者、出荷業者、加工業者等。
- 普及予定地域:ニンニクを長期出荷する地域全般。現在、青森県産の周年出荷用ニンニクは約-2度Cで貯蔵されている。テンパリング乾燥は十和田おいらせ農協、高温処理は青森県内の複数の農協で実用化されている。
- その他:ニンニク「福地ホワイト」を供試して得られた成果である。詳細は東北農業研究センターホームページに掲載の「ニンニク周年供給のための収穫後処理マニュアル」を参照する。図2に示した高温処理条件は収穫・乾燥後、-2度Cで貯蔵したりん茎のみに適用可能であり、異なる条件で貯蔵したりん茎には効果がない可能性がある。
[具体的データ]
(山崎博子)
[その他]
- 中課題名
- 業務・加工用野菜の安定供給に向けた夏秋期生産技術の開発
- 中課題番号
- 113a3
- 予算区分
- 交付金、競争的資金(実用技術)
- 研究期間
- 2005〜2014年度
- 研究担当者
- 山崎博子、庭田英子(青森産技セ)、伊藤篤史(青森産技セ)、矢野孝喜、長菅香織、稲本勝彦、山崎篤
- 発表論文等
- 農研機構(2013)「ニンニク周年供給のための収穫後処理マニュアル」 http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/045870.html(2013年3月1日)
- 山崎ら(2014)園学研、13(2):169-176
- 山崎ら(2014)園学研、13(4):371-378