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食塩水処理によるストックわい性品種の茎伸長抑制効果

[要約]

ストックわい性品種「ピグミーシリーズ」、「キスミーシリーズ」、「ベイビーシリーズ」を10.5cmポットに定植後、2%食塩水100mlを1回土壌かん注し、その後のかん水量を1回当たり100mlに抑えて管理することで、草丈を慣行の57〜72%に抑制できる。

[キーワード]

花壇用苗物、ストック、わい性品種、伸長抑制、食塩水

[担当]

宮城県農業・園芸総合研究所・園芸栽培部

[代表連絡先]

電話022-383-8132

[区分]

東北農業・野菜花き(花き)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

花壇用苗物生産においては、茎伸長を抑制して草姿を改善する目的で「わい化剤」が使用されているが、農薬登録が一部の品目に限定されている。そのため、わい化剤を使用せずに茎伸長を抑制できる実用技術の開発が切望されている。本研究ではストックわい性品種において、食塩水による茎伸長抑制効果を検証し、草姿改善技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. ストックわい性品種「ピグミーレッド」を10.5cmポットに定植し、その4日後に2%食塩水を100ml土壌表面から1回かん注し、その後のかん水を1回当たり100mlに制限して管理すると、同様にかん水量を制限した食塩水無処理のもの(対照)よりも第1小花開花日が遅れ、葉色がやや低下するが、茎伸長が抑制される。わい化剤 (ダミノジッド水溶剤)1回処理と比較すると、茎伸長抑制効果が安定する(表1図1)。
  2. 食塩水処理による茎伸長抑制効果は表2に示した品種で確認されている。かん水量を制限しない食塩水無処理のもの(対照)と比較すると、草丈は57〜72%に抑制される。第1小花開花日が遅れ、最大葉長、茎径、花房長、小花径が減少するものがあるが、花壇苗として扱いやすい草姿となる(表2、図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 供試土壌は、ピートモス主体の培土と粒状培土を容積比1:1に混合したものである。
  2. かん水は、いずれも土壌表面が乾いた都度行っている。
  3. 用土中の肥料成分量(mg/l)は、開花時に葉の黄化を軽減するため、N:200、K2O:500程度を確保する。

[具体的データ]

(宮城県)

[その他]

研究課題名
塩分による茎葉伸長抑制効果を活用した鉢物生産技術の開発
宮城から提案する新規園芸品目の生産技術の開発
予算区分
受託(ソルト・サイエンス研究財団)、県単
研究期間
2013〜2014年度
研究担当者
山口義昭、武井まゆ美、津田花愛、鈴木誠一
発表論文等
山口ら(2014)東北農業研究、67:129-130