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露地電照栽培による8、9月需要期出荷が可能な夏秋小ギク品種の選定

[要約]

電照反応性の高い夏秋小ギクの品種「精ちぐさ」「すばる」「精こまき」「はるか」は、適期に消灯することによって、8月および9月の需要期にあわせた開花時期の調節が可能である。

[キーワード]

小ギク、露地電照、開花調節、品種

[担当]

福島県農業総合センター・作物園芸部・花き科

[代表連絡先]

電話024-958-1725

[区分]

東北農業・野菜花き(花き)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

夏秋期の小ギク生産においては自然開花期が異なる複数の品種を栽培し、需要期に開花したものを出荷するのが一般的であるが、この方式では需要に対応した安定的な計画出荷が困難である。そのため、夏秋小ギクで高い花芽分化抑制効果の見られる品種(森ら,2014)を供試して福島県内で8月旧盆・9月彼岸の需要期に出荷可能な品種を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 「精ちぐさ」「すばる」「精こまき」「はるか」は、8月旧盆出荷を目標とする電照栽培、9月彼岸出荷を目標とする電照栽培ともに、消灯日から開花盛期までの到花日数が、それぞれ品種によりほぼ一定であることから、消灯日を変えることで各需要期に合わせた開花調節を行うことが可能である(表1)。
  2. 「白精ひなの」は9月彼岸出荷を目標とする電照栽培では、消灯日を変えることで開花期を需要期に合わせることが可能であるが、8月旧盆出荷を目標とする電照栽培では無電照でも需要期よりも遅れることから、福島県内での8月旧盆出荷には適していない(表1)。
  3. 消灯日の違いによる切り花品質の差は見られなかった(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 採穂親株床は「精ちぐさ」「精こまき」「白精ひなの」は無電照,「すばる」「はるか」は電照により管理した。
  2. 電照方法は定植後に100V75W電照用白熱電球(みのり)を2m間隔で地面より高さ2mに設置し、6時間(22:00〜4:00)の暗期中断を消灯日まで行っている。
  3. 苗は挿し芽時から定植時まで白熱電球(みのり)で22時から4時の6時間電照を行っている。
  4. 需要期出荷のための最適な定植日および消灯日は地域により異なる可能性がある。今回の試験地は福島県郡山市である。
  5. 到花日数は、極端な高温の場合は変動する可能性がある。

[具体的データ]

(福島県)

[その他]

研究課題名
周年安定生産を可能とする花き栽培技術の実証研究
予算区分
委託(食料生産地域再生のための先端技術展開事業)
研究期間
2014年度
研究担当者
鈴木安和・高田真美・住友克彦(花き研究所)・久松完(花き研究所)・森義雄(岡山農研)・矢野志野布((有)精興園)・小川貴弘((有)精興園)・廣瀬信雄((有)精興園)・矢吹隆夫