- [要約]
- 酒米品種「祝」は、稈長が長く倒伏しやすい。幼穂形成期の草丈をもとに成熟期の稈長を予測し、前期穂肥を減肥することにより稈長の制御が可能である。また、基肥を3kgとし、一株植付本数を3本とすることで倒伏の危険性を軽減できる。
京都府農業総合研究所 栽培部
[連絡先]0771-22-0424
[部会名]作物生産(育種・栽培)
[専 門]栽培
[対 象]稲類
[分 類]普及
- [背景・ねらい]
- 酒米品種「祝」は、酒造適性の優れる高品質の酒米として高い評価を得ているが、稈長が長く倒伏しやすい。生育途中における稈長の予測、施肥法等により倒伏を回避し、安定栽培技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
- 「祝」は、倒伏程度3.5以上となると収量・品質が低下する。現地試験等の結果から、基肥施用量がN成分で3kgを超えると、倒伏程度が3.5以上となる危険性がある。そのため、倒伏の危険性を回避するには、基肥施用量はN成分3kg/10a以下が適当と考えられる(図3)。
- 幼穂形成期の草丈と成熟期の稈長、及び成熟期の稈長と倒伏程度の間にそれぞれ高い相関がある。回帰式から幼穂形成期の草丈が92cm以上の場合に、成熟期の稈長が116cm以上となり、倒伏程度が3.5以上となる危険性が予測できる(図1,図2)。
- 幼穂形成期の草丈による指標をもとに、前期穂肥を減肥することにより稈長を短くすることができる。しかし、倒伏の危険性の少ない草丈で前期穂肥を減肥した場合には、一穂籾数が減少し、収量が低下する(表1)。
- 一株植付本数を増やすと倒伏程度が高まる傾向があるので、一株植付本数は3本程度が適当と考えられる(表2)。
[成果の活用面・留意点] 野菜跡や牛糞堆肥を投入したほ場等では、土壌中の有効態窒素が多くなるので、上記の量より基肥を少なくし、栽植密度も疎植としたうえで上記の倒伏防止対策を講じる必要がある。
[その他]
研究課題名:酒米栽培技術確立試験(1) 「祝」の栽培技術改善試験
予算区分 :府単費
研究期間 :平成8年(平成5〜8年)
研究担当者:寺嶋武史、河瀬弘一
発表論文等:なし
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