- [要約]
- 「モチミノリ」は、早生の偏穂重型品種で、縞葉枯病抵抗性などの耐病性を備えている。「アキシノモチ」に比較して、早熟で倒伏に強く、収量性はやや高く、品質も安定し、食味が優るので、府下全域を対象に奨励品種に採用する。
大阪府立農林技術センター・栽培部・生物資源室
[連絡先]0729-58-6551
[部会名]作物生産
[専 門]育種
[対 象]分類
[分 類]普及
- [背景・ねらい]
- 大阪府の全域(平坦部から山間部)に適する奨励品種として、昭和43年に採用された中生種「アキシノモチ」は熟期がやや遅く、倒伏に弱く、収量品質がやや劣ることが問題となっている。このため、早生で倒伏に強く、収量、品質の安定した食味の良いもち品種に対する要望が高い。
[成果の内容・特徴]
- 出穂期は「アキシノモチ」より早く、成熟期が平坦部では11日程度早い早生の糯種である(表1)。
- 稈長は「アキシノモチ」より短稈で、穂長はやや長く、穂数はやや少ない偏穂重型品種である。草姿がよく、粒着密度が中で脱粒性は難であり、ふ先色、ふ色は褐色である。耐倒伏性は「アキシノモチ」より強く、穂発芽性は難である(表1)。
- 縞葉枯病抵抗性であり、いもち病に対しては抵抗性遺伝子Pi-kを持つと推定され、葉いもち及び穂いもちの耐病性はともにやや強である(表1)。
- 収量は「アキシノモチ」よりやや多収であり、千粒重は「アキシノモチ」並、品質は「アキシノモチ」と同程度に安定している(表1)。
- 「アキシノモチ」に比べ餅の外観が良く、粘りがあり、食味が良い(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 適応地帯は、府下全域(平坦部から山間部)で、普及面積は100haを予定している。
- いもち病抵抗性はやや強であるが、常発地では適期防除に努める。
- 施肥は「晴々」程度とし、多肥栽培は避ける。
- 良質米生産に向けて、適期刈取に努める。
[その他]
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分 :国庫補助
研究期間 :平成8年度(平成4年〜8年)
研究担当者:浦田敏業、須見司郎、西垣誠二
発表論文 :なし
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