水稲早期栽培における「ハナエチゼン」の平均気温積算値による収穫適期の推定


[要約]
早期栽培における「ハナエチゼン」の収穫適期は、玄米品質、収量から出穂後の平均気温積算値で811〜970℃と考えられた。
 和歌山県農業試験場・栽培部
[連絡先]0736-64-2300
[部会名]作物生産(栽培)
[専 門]栽培
[対 象]稲類
[分 類]普及

[背景・ねらい]
 早期栽培では登熟期が高温であるため刈り遅れによる品質低下が著しい。そこで8月上中旬収穫の期待される「ハナエチゼン」の収穫適期について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 出穂期から成熟期までの日数は出穂後の平均気温積算値と関係が大きく、ほぼ一定である。成熟期は平均気温積算値881〜917℃である(表1)
  2. 収量は平均気温積算値720〜811℃で10〜15%減収し、811℃以上は安定する(図1)
  3. 「ハナエチゼン」の1等米収穫期間は、平成6年が出穂後26〜34日(平均気温積算値728〜964℃)、平成7年が出穂後26〜42日(平均気温積算値715〜1162℃)、平成8年が出穂後30〜36日(平均気温積算値811〜970℃)であった(図1)
  4. 千粒重は平均気温積算値811℃以上で安定する(図1)
  5. 玄米品質、収量、青米率、千粒重の推移から収穫適期は出穂後の平均気温積算値(登熟温度)で811〜970℃、青米率で5〜20%の時期である(図1)

[成果の活用面・留意点]
  1. 帯緑色籾率と青米率では収穫適期幅が異なることもあるので注意する。

[その他]
 研究課題名:水稲の早期栽培技術の確立
 予算区分  :県単
 研究期間  :平成8年度(平成6年〜8年)
 研究担当者:林恭弘、森下年起、山本浩之、川村和史
 発表論文等:なし
目次へ戻る