- [要約]
- 島根県平坦部において、「ときめき35」を3月下旬〜4月上旬に移植することにより、8月中に安定して収穫でき、早場米として出荷することが可能となる。
島根県農業試験場・作物部・作物科
[連絡先]0853−22−6650
[部会名]作物生産
[専 門]栽培
[対 象]稲類
[分 類]普及
- [背景・ねらい]
- 本県で育成した「ときめき35」は良食味米として市場評価が高く、また、「コシヒカリ」より成熟期が早いため早場米として期待されているが、本県の一般栽培である5月上旬移植では、9月上旬収穫となることがある。そこで、本県平坦部を対象に「ときめき35」を3月下旬〜4月上旬に移植し、8月中に安定して収穫する早植え栽培について検討した。
[成果の内容・特徴]
- 育苗は、2月下旬〜3月上旬に播種し育苗器で出芽させた後、ハウス内に設けたトンネル内で行う。無加温でも約30日で稚苗が得られる(表1)。
- 3月下旬から4月上旬に移植することにより、5月上旬植えに比べて出穂期は5日、成熟期は9日程度早まり、8月中に安定して収穫・出荷が可能となる。また、収量や品質への悪影響は認められない(図1、表2)。
- 移植期から出穂期までの日積算気温は、移植期が遅くなるほど少なくなり、移植期を独立変数とする1次回帰式によく適合する。また、成熟期は出穂期を独立変数とする1次回帰式によく適合する(表3)。この式を用いて「ときめき35」の8月中収穫・出荷のための作期を決定することができる。
[成果の活用面・留意点]
- 「ときめき35」の栽培指針として普及指導に活用できる。
- 育苗期間中は、積雪によるハウスの破損に注意する。
- 移植後の凍霜害に注意し、被害が予想されるときは深水管理により回避する。
[その他]
研究課題名:「ときめき35」の作期前進試験
予算区分 :県 単
研究期間 :平成8年(平成3〜8年)
研究担当者:山本朗
発表論文等:日本作物学会中国支部研究収録、第37号
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