大豆系統「東山158号」の奨励品種採用


[要約]
大豆系統「東山158号」は現奨励品種「タチナガハ」より収量の安定性が高く、また、「タマホマレ」より熟期が早く、良質であるので、山間部を除いてこれら2品種に代わる奨励品種として採用する。
 
 島根県農業試験場・作物部・作物科
[連絡先]0853-22-6650
[部会名]作物生産(育種・栽培) 
[専 門]育種
[対 象]豆類
[分 類]普及

[背景・ねらい]
 県内では水田転換畑を中心に約1,000haの大豆栽培面積がある。現在3品種を奨励しているが、「エンレイ」、「タチナガハ」は収量にやや不安定な点があることから減少し、ほとんど「タマホマレ」のみが作付けされているが、品質面で1等比率が低いという問題点があり、生産意欲向上と作付拡大を妨げる一つの要因となっている。

[成果の内容・特徴]

「東山158号」の特性は以下のとおりである。
  1. 開花期、成熟期は「タチナガハ」と同等で、「タマホマレ」より3〜4日早い(表1)
  2. 主茎長は「タチナガハ」、「タマホマレ」よりやや短く、倒伏、蔓化、莢先熟の障害はこの両品種と同様に少ない。また、ウイルス病に抵抗性があり、ほ場での発病や褐斑粒の発生がほとんど見られない。分枝数は両品種より多く、茎の太さはやや細い(表2)
  3. 子実収量は「タチナガハ」より高く、「タマホマレ」と同等で、安定して多収である(表2、表3)
  4. 子実百粒重は「タチナガハ」と同等で、「タマホマレ」より重い。また、裂皮粒の発生が少なく、外観品質はこれら2品種に優る(表2)
  5. 「タチナガハ」に比べて粗蛋白含量が低く、粗脂肪、全糖含量が高い。これらの成分含量は「タマホマレ」と同等である(表2)

[成果の活用面・留意点]
  1. 「タチナガハ」及び「タマホマレ」に代わる奨励品種として採用し、山間部を除く県下900haへの普及を図る。
  2. 粗蛋白含量が高くないので、「タマホマレ」と同様に味噌・煮豆加工を主用途とする。
  3. 茎長がやや短いので、機械収穫を行う場合には疎植や晩播など短茎化を助長する栽培法は避ける。

[その他]
 研究課題名:大豆奨励品種決定調査
 予算区分  :国補
 研究期間  :平成8年度(平成元〜8年)
 研究担当者:安原宏宣、月森弘、藤原耕治 
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