- [要約]
- 不耕起乾田直播栽培の播種期は、慣行播種期(5月)を基本に3月上旬まで必要に応じて早めることができる。このとき早晩性の異なる品種を組合わせておけば、播種の早晩に関係なく品種の早晩順に収穫でき、収穫期間も拡大される。
岡山県立農業試験場・作物部
[連絡先]08695-5-0271
[部会名]総合研究、作物生産(夏作物)
[専 門]栽培
[対 象]稲類
[分 類]普及
- [背景・ねらい]
- 不耕起乾田直播栽培は極めて省力的な栽培法であるが、大規模に行うためには播種や収穫作業などの労働ピークを分散させる必要がある。そこで、早晩性の異なる数品種について播種期の可動性と、それに伴う収穫期の変動、栽培上の問題点を調査した。
[成果の内容・特徴]
- 3月から5月までの播種であれば、同じ品種の出穂・成熟期の差は0〜7日と小さいので、品種毎に同時〜連続的な収穫が可能である。しかし、6月播種の成熟期は、これらより7〜14日遅くなる(図1)。
- 播種期が早いほど、覆土が固結することによる出芽阻害、あるいはケラやスズメ等による苗立被害が多くなりやすい(図2)。また、6月播種では、周辺圃場の湛水に伴って雀害が集中することがある(平成6年)。
- 欠株率が30%程度までであれば、3〜4月播種の収量性は慣行播種期(5月)に比べて特に劣らない。しかし、‘吉備の華’と‘アケボノ’の6月播種は、出穂期が遅いためやや減収する(図3)。
- 不耕起乾田直播栽培の精玄米収量は同時期に播種した耕起乾田直播栽培の87〜112%程度である。また、‘吉備の華’と‘アケボノ’は‘日本晴’より多収である(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- 適用範囲は岡山県南部地帯で、播種期と出穂・成熟期および収量性との関係、並びに早播きしたときの苗立低下の問題は耕起乾田直播栽培でもほぼ同様である。
- 播種期が早くても収量性に問題はないが、早い播種ほど苗立が不安定になるとともに乾田期間中の圃場管理が長期化するので、必要以上に早播きしない。
[その他]
研究課題名:5時間軽労働稲作技術体系の確立、乾田不耕起直播を中心とした超省力・ 低コスト稲作技術の開発
予算区分 :県単、地域基幹農業技術体系実用化研究
研究期間 :平成8年(平成4〜6年)
研究担当者:杉本真一
発表論文等:なし
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