- [要約]
- 瀬戸内平坦部の産米改良のため、良質、良食味の中生品種「ヒノヒカリ」を奨励品種に採用した。
山口県農業試験場・経営作物部・普通作物研究室
[連絡先]0839-27-0211
[部会名]作物生産(夏作物)
[専 門]育種
[対 象]稲類
[分 類]普及
- [背景・ねらい]
- 新食糧法の施行により米の産地間競争が激化し、これまで以上に「売れる米」、「おいしい米」が求められており、不評を来している瀬戸内平坦部の品質、食味の改善は急務となっている。このため、良食味品種の「ヒノヒカリ」を奨励品種に採用し、瀬戸内平坦部産米の良食味品種への転換を図る。
[成果の内容・特徴]
- 出穂期、成熟期は「せとむすめ」より3〜5日遅く、「中生新千本」並み〜2日遅い中生種である。
- 稈長は、「せとむすめ」、「中生新千本」より長いが、「せとむすめ」並みに倒伏は 少ない。
- 穂数が少なく、1穂籾数の多い偏穂重型種で、u当り籾数は確保しやすい。
- 収量は「中生新千本」よりやや多く、「せとむすめ」並みの多収である。
- 外観品質は良好であるが、年次によっては乳白米により低下することがある。
- 食味は極良好である。
[成果の活用面・留意点]
- 中生種であるので、気象、水利慣行等から主として瀬戸内平坦部の普通期や麦跡栽培に適する。
- やや長稈で倒伏の恐れがあるため、極端な多肥栽培は行わない。
- 品質向上のため、穂肥偏重による籾数過多や、早期落水を避ける。
- 刈取適期は、刈り遅れによりうす茶米や胴割米が発生しやすいため、比較的籾水分が高い、やや早い時期である。
- 表1 表2 [具体的データ]
[その他]
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分 :国補
研究期間 :昭和63年度〜平成8年度
研究担当者:中司祐典、藤岡正美、尾本芳昭、角屋正治
発表論文等:山口県奨励品種審査会(平成8年9月)
目次へ戻る