- [要約]
- 水稲不耕起乾田直播栽培の出芽揃までに要する日数は気温と土壌水分から推定される。出芽揃までの日数の推定式と過去の気象観測値から年次変動を考慮に入れた出芽揃期の指標が得られる。
鳥取県農業試験場・作物研究室・環境研究室・経営技術研究室
[連絡先]0857-53-0721
[部会名]作物生産・総合研究
[専 門]栽培
[対 象]稲類
[分 類]指導
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[背景・ねらい]
- 水稲乾田直播栽培の出芽揃までの日数は変動が大きく、特に不耕起直播については知見が乏しいため、計画的栽培が困難である。そこで播種日から予想される出芽揃期を算出し、不耕起乾田直播栽培の導入にあたっての指標とする。
[成果の内容・特徴]
- 鳥取農試ほ場(細粒灰色低地土、圃場容水量 45〜50%)における不耕起乾田直播栽培試験結果から、次の重回帰式が得られた(表1)。
- Y= 92.3 − 2.18X1 − 0.61X2
Y:出芽揃(出芽個体数が全出芽数の90%に達した日)までに要する日数
X1 :播種翌日から10日間の日平均気温(℃)
X2 :播種〜出芽揃までの平均土壌含水比(%、条間の深さ2〜3cm部分)
決定係数:R2 =0.908
- 平成元〜8年の鳥取地方気象台観測の日平均気温と推定式を用いて播種日ごとの出芽揃までの日数を算出した結果によると、土壌水分が同一の場合の年次間差は4〜11日と想定される(図1)
- 播種日から予想される出芽揃期の目安は以下のとおりである。
[成果の活用面・留意点]
- 不耕起乾田直播栽培の播種時期決定の目安として利用できる。
- 播種様式はロータリー作溝覆土方式、播種深度は2〜3cm、浸種済み籾の播種に限る。
- 平坦部灰色低地土地帯の4月下旬〜5月下旬播種に限る。
- 平均土壌含水比は播種予定20日前頃から播種までの間の3〜4回の測定(15mm以上の降雨当日及び翌日、乾燥の続いた日等は避ける)で概ね把握できる。
[その他]
研究課題名:不耕起乾田直播を導入した低コスト水稲栽培体系の確立
予算区分 :地域基幹
研究期間 :平成6〜8年(平成6〜10年度)
研究担当者:福見尚哉、西尾博之、坂東悟、三谷誠次郎、長暉
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