- [要約]
- 水稲の収穫適期判定の指標となる帯緑籾割合は近赤外分析計によって高精度で推測できる。コンバイン収穫の場合は帯緑籾割合が10〜15%、稲架乾燥の場合は15〜20%の時を収穫適期とする。
島根県農業試験場・作物部・作物科
[連絡先]0853-22-6650
[部会名]作物生産(育種・栽培)
[専 門]栽培
[対 象]稲類
[分 類]指導
- [背景・ねらい]
- 水稲の収穫適期判定は出穂後日平均気温積算値で概算し帯緑籾割合を調査することによって行われてきたが、この方法は調査に経験が必要な上に客観性にかける点が問題であった。また、コンバイン収穫と稲架乾燥では収穫適期が異なると考えられるにもかかわらず、これらの差異は明らかにされてはいなかった。
[成果の内容・特徴]
- 品種、作期、作付地域の異なる9種条件で栽培した水稲について、出穂23〜31日後から38〜77日後まで2〜5日おきに3株ずつ採取し、直ちに脱粒して帯緑籾の割合を計測し、同じサンプルを粒状セルに充填してニレコ製NIRS6500近赤外分析計により反射モードで吸収スペクトルを測定した。その結果、クロロフィル吸光中心付近644nmにおけるスペクトルの一次微分によって帯緑籾割合を高精度で推測できた(図1)。
- 上記と同様のサンプルについて、コンバイン収穫と稲架乾燥を想定して採取、脱粒後に自然乾燥、籾摺・調整を行った区と採取、自然乾燥後に脱粒、籾摺・調整を行った区を設け、各々の玄米品質を調査した。収穫時の帯緑籾割合が低いほど玄米の青未熟粒割合が低下したが茶米は逆に増加した。ただし、同時に収穫しても脱粒後乾燥処理と乾燥後脱粒処理では後者の玄米の青未熟粒割合が少ない傾向があった。このため、品質が最良となる時の帯緑籾割合は両者で多少異なり、脱粒後乾燥では10〜15%、乾燥後脱粒では15〜20%であった(表1)。
- 以上から、帯緑籾割合を近赤外分析計によって推測し、収穫適期を収穫方法に応じて客観的に判定することができる。
[成果の活用面・留意点]
- 収穫方法に応じた簡便かつ客観的な水稲収穫適期判定として活用できる。
[その他]
研究課題名:良質米安定生産のための水稲生育制御技術体系の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成8年度(平成8〜12年)
研究担当者:安原宏宣
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