- [要約]
- 不耕起乾田直播栽培圃場における乾田期間中のノビエ、メヒシバ、イボクサの時期別発生数と葉齢増加を明らかにした。
岡山県立農業試験場・作物部
[連絡先]08695-5-0271
[部会名]総合研究、作物生産(夏作物)
[専 門]雑草
[対 象]稲類
[分 類]指導
- [背景・ねらい]
- 大規模な不耕起乾田直播栽培における播種期前後から入水期までの省力的な雑草防除体系を確立する一環として、主要な水田夏雑草の発生消長と発生時期別の葉齢増加等を把握する。
[成果の内容・特徴]
- ノビエの発生始期は4月15〜20日で、早播した水稲の出芽始期(4月28日〜5月7日)より12〜18日早い。葉齢の増加は5月半ばまで1日当たり0.2葉程度であるが、これより発生時期が遅いほど生育は早く、入水期前後の6月中・下旬には1日当たりの葉齢増加が0.4葉に達する(図1)。発生数は5月中旬〜6月上旬に多いが、その後も継続的に発生する(図2)。
- メヒシバの発生始期は4月下旬でノビエよりやや遅いが、出芽後の葉齢増加はノビエとほぼ同程度である。発生数は5月中旬〜6月上旬に多く、乾田期間中における全発生数の9割以上が6月上旬までに発生する。
- イボクサは耕起乾田直播栽培の乾田期には発生しなかったが、不耕起栽培では乾田期に発生するので、多発圃場では重要草種となる。発生始期は4月上・中旬とみられ、生育はノビエよりやや早い。
[成果の活用面・留意点]
- 不耕起圃場における水田夏雑草の発生は、スズメノテッポウ等冬雑草の繁茂によってかなり抑制される。上記は冬雑草を防除したときのものである。
- 調査圃場では上記の3草種が問題になる雑草であったが、圃場によっては他にアゼガヤ、エノコログサ、ホタルイ、ミズガヤツリ、クログワイ、クサネム等に注意する必要がある。
- シハロホップブチル・ベンタゾン液剤は3葉以上のメヒシバと4葉以上のイボクサには効果がやや劣るので、ノビエの葉齢を基準に防除時期を決めると、これら草種の処理適期を逸することがある。
[その他]
研究課題名:乾田不耕起直播を中心とした超省力・低コスト稲作技術の開発
予算区分 :地域基幹農業技術体系実用化研究
研究期間 :平成8年(平成6〜8年)
研究担当者:杉本真一、赤澤昌弘
発表論文等:なし
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