乗用型水稲不耕起乾田直播機


[要約]
トラクタアタッチメント方式で二条独立懸架の逆転溝切覆土式不耕起乾田直播機を開発した。これは、前作の稲わらが被覆された状態でも播種・覆土・施肥・施薬が同時にできる省力的な不耕起播種機である。
 岡山県立農業試験場・作物部
[連絡先]08695-5-0271
[部会名]総合研究、作物生産(機械・施設)
[専 門]機械
[対 象]稲類
[分 類]普及

[背景・ねらい]
 稲作の軽労働・省力化を図るための手段として不耕起乾田直播栽培が期待されている。この栽培法の普及には、稲わらが圃場に被覆された状態でも播種・覆土でき、施肥、施薬も播種と同時にできる省力的な不耕起播種機の開発が望まれる。

[成果の内容・特徴]

  1. M社との共同研究で、平成4年に開発した歩行型4条不耕起播種機を改良し、播種・覆土と同時に施肥と施薬のできるトラクタアタッチメント式で、二条独立懸架(4〜8条)の逆転溝切覆土式不耕起乾田直播機を開発した(図1)
  2. この播種機(6条)を20kWトラクタに装着して播種(品種:アケボノ、播種量4.1kg/10a)すると、作業速度は0.7m/s、圃場作業量は33a/hである(表1)
  3. 播種深度3cmの設定で平均播種深度は2.3cmである。苗立率68%、苗立数33本/mであり(表1)、耕起直播に劣るものではなく、実用上問題はない。
  4. 田面が低く水がたまりやすい場所では苗立の劣る傾向がみられる。
  5. 3年間の平均では、収量は県平均収量と同等である(表2)
  6. 平成7年には、出芽時の湿害軽減のために、播種筒を前後に移動させることにより床土量と覆土量を変えて播種深度を調整できるように改良した(図2)。さらに、施肥位置を均一にするために、播種条の真上から施肥するように改良した(図3)

[成果の活用面・留意点]
  1. この播種機では播種溝に水がたまりやすいので、排水の悪い水田では、周囲に溝を設ける等の排水対策を行う。
  2. 入水後に漏水の恐れのある水田では漏水防止策を実施する。

[その他]
 研究課題名:乾田不耕起直播を中心とした超省力・低コスト稲作技術の開発(平成6〜10)、5時間軽労働稲作技術体系の確立(平成4〜5)
 予算区分 :地域基幹農業技術体系実用化研究(平成6〜10年)、県単(平成4〜5年)
 研究期間 :平成8年度(平成4〜10年)
 研究担当者:河本恭一、石井俊雄、杉本真一、狩谷寿志、冨久保男、岡武三郎
 発表論文等:水稲の乾田不耕起直播栽培技術開発の現状、日本作物学会紀事、63巻1号、1994.
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