セル成型苗利用によるキャベツの機械移植栽培


[要約]
5月播種8月収穫のキャベツでは、128穴、200穴セルトレイ育苗では苗質は差があるが、機械移植の場合、球重はほとんど差がない。10a当たり移植作業時間は58分〜2時間30分かかる。植え付け不良率は、3〜6%である。
 奈良県農業試験場・栽培技術担当・施設軽作業化チーム
[連絡先]07442-2-6201
[部会名]作物生産(機械・施設)、総合研究
[専 門]作業
[対 象]葉菜類
[分 類]指導

[背景・ねらい]
 露地の土地利用型野菜では担い手の減少と高齢化が進みつつあり、省力的な作業体系が求められている。そこでセル成型苗利用による、5月播種8月収穫キャベツの機械移植の精度、作業時間等を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

 5月播種の128穴、200穴のセルトレイを利用した育苗では、同じ培養土を使用した場合128穴トレイの育苗が本葉の枚数が多く、草丈は長く、根鉢の形成程度は高くなる。しかし機械移植した場合、収穫時期の球重は、128穴と200穴ともにほとんど差が無くなる(表1)
 10a当たり移植に要する時間は、200穴セルトレイにより育苗した苗を、往復2条植え用移植機(ACP−1W)を使用して0.3m/sの速度で移植の場合、1時間40分〜2時間30分、1条植移植機(ACP−1)で0.4m/sの場合1時間2分かかる。乗用移植機(PR2)で0.3m/sの時、58分で移植することができる。うち移植機の転回に要する時間は9〜11%、苗補給に要する時間は3〜16%である。又転回に要するまくら地の幅は往復2条植えで1.5〜1.8m、1条植えで1.0m、乗用型で2.5m必要である(表2)
 移植の精度は、往復2条植え型で欠株率がで1〜2%、横倒れ等の植え付け不良苗率合計は3〜6%、1条植え型で欠株率が0.8%、植え付け不良率合計が3.2%、乗用植え型で欠株率が4.3%、植え付け不良率合計が5.2%である(表2)

[成果の活用面・留意点]

 品種、栽培の時期及び方法及び移植機等の違いにより、精度、作業時間等が異なることがある。

[その他]
 研究課題名:中山間地域における特産野菜の周年安定・省力生産体系と加工技術の開発
       野菜・花卉の機械化技術の確立
 予算区分 :地域基幹、県単
 研究期間 :平成7〜8年度(平成6〜10年)
 研究担当者:角山正吉、吉村昭信 

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