- [要約]
- 全自動移植機VP−245を軟弱野菜用にも適応できるように改良した。主な改良点は走行部を畝上走行から谷間走行に、左右車軸の長さを変えることにより植え付け位置を右側に寄せ、一畝を往復4条植えできるようにした。
兵庫県立中央農業技術センター・経営実験室
[連絡先]0790-47-1117
[部会名]作物生産(機械・施設)
[専 門]機械
[対 象]葉茎菜類
[分 類]研究
- [背景・ねらい]
- 軟弱野菜は植え付け株間が狭いため、既存の野菜移植機では対応が困難であった。全自動野菜移植機VP−245は株間を5cmから設定でき、2条植えであるなどの特徴を備えており、これまで若干の改良を加え軟弱野菜にも対応できるようにした。しかし、走行部が畝上走行であるため機重による植え付け部の締め付け、畝の崩壊など現地では受け入れにくい点があった。そこで、走行方式を畝上走行から谷間走行に改良するとともに、左右車軸の長さを変えることにより一畝を往復4条植えできるように改良する。
[成果の内容・特徴]
- これまでの改良点は葉がらみ防止のため、横送りベルトの幅を10mm狭め85mmにした。また、横送りベルト上の苗を縦送りベルトに正確に押し出せるよう、押し出し爪を4本爪から5本爪にした。その結果、チンゲンサイの植え付け精度は約10%向上した(表1)。
- 今回の改良点は機械の中央部にあったドラム式鉄車輪に替え、直径650mmの田植機の車輪を取り付けた。輪距は1200mmとし、畝をまたいで谷間走行できるように改良した。左右車軸の長さは左を365mm、右を50mmとし、植え付け位置を右側に寄せることにより一畝を往復4条植えできるように改良した。また、苗搬送の下送りベルトと植え付けディスクを内側に寄せ、条間を従来の45cmから40cmにした。復路はその中央部に植え付けるため条間は20cmとなり、120cmの畝にも植えられるようにした(写真1、2)。
- 改造に伴い重量バランスを図るため前部に約10kgのウエイトを乗せた。そのため重量は改良前の210kgから238kgに増加した(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- さらに作溝爪の角度、横送りベルトと縦送りベルトの間隔などに改良を加え、場内で精度確認を経た後、現地実証する。
[その他]
研究課題名:野菜産地の維持形成のための機械化、軽作業化による安定生産技術体系の確立
予算区分 :地域基幹
研究期間 :平成8年度(平成6〜10年)
研究担当者:米谷 正、置塩康之、桐村義孝、松本 功
発表論文等:グリーンレポートbQ32(1995.5)
目次へ戻る