- [要約]
- カキにサビ障害を発生するカキサビダニの防除適期は、ほとんどが展開葉に寄生している展葉終止期(5月上〜中旬)である。また、カキで他の病害虫に登録ある薬剤に高い殺虫効果が認められ、それら病害虫との同時防除が可能である。
山口県萩柑きつ試験場
[連絡先]0838-22-2474
[部会名]近畿中国・生産環境、近畿中国・果樹
[専 門]作物虫害
[対 象]果樹類
[分 類]研 究
- [背景・ねらい]
- ‘西条’果樹における原因不明のサビ障害が、カキサビダニの加害によることが明らかになった。しかし、カキサビダニは新害虫で発生生態が明らかでなく、また、微小であるため直接寄生、加害を確認して防除することができず、薬剤防除の効果が上がりにくい。そこで、カキサビダニを薬剤で的確に防除するため、発生生態に基づく薬剤の散布適期の究明と効果の高い薬剤の検索を行う。
[成果の内容・特徴]
- 薬剤の散布時期により防除効果に差があり、5月上〜中旬の展葉終止期の散布効果が高い。一方、発芽終期及び開花終期の散布では効果はやや低く、萌芽期及び幼果期の散布では防除効果は低い(表1)
- カキサビダニは越冬後1ケ月程度は芽の鱗片や苞葉の下に寄生し、順次展開葉へ移動し5月中旬にはほとんどが展開葉に寄生する。その後開花期以降は速やかに果実に移行する。その結果、薬剤散布の効果は寄生部位への薬剤のかかりやすさと関係し、ほとんどのカキサビダニが展開葉に寄生して薬剤がかかりやすい展葉終止期が散布適期である(表2)。
- カキで登録のある殺虫、殺菌剤の中にはピリダフェンチオン剤や水和硫黄剤など殺虫効果の高い薬剤があり、他病害虫との同時防除が可能である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 試験した薬剤はいずれもカキサビダニには登録がないので、それらの適用病害虫の防除における併殺効果をねらう。
- カキサビダニは葉裏に寄生するので、薬剤が葉裏によくかかるように散布する。
- ‘西条’におけるチャノキイロアザミウマによると思われる障害など、他の病害虫による類似の障害があるので、混同しないように注意する。
[その他]
研究課題名:果樹サビダニ類の発生生態に基づく総合的防除技術の確立
予算区分 :地域重要新技術
研究期間 :平成8年度(平成7〜11年)
研究担当者:稗圃克己
発表論文等:応動昆中国支部会報、39号、講演要旨(印刷中)
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