- [要約]
- 毛管水耕は、湛液水耕に比べて葉ネギの品質が向上できる。水分制御は、草丈20〜30cmの時期から、湛液槽水位を根面から1〜2cm下げて行い、給液を60〜120分間隔にすると葉色が濃く、葉先枯れの発生を少なくできる。
和歌山県農林水産総合技術センター・農業試験場・栽培部・環境保全部
[連絡先] 0736-64-2300
[部会名] 野菜・花き(野菜)、生産環境(土壌・気象)
[専門] 栽培
[対象] 葉茎菜類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
- 軟弱野菜の養液栽培は、そのほとんどが湛液水耕方式であり、土耕栽培に比べて品質が劣る等の問題がある。特に、葉ネギについては、葉色が淡い、葉が軟弱、日持ちが悪い等から市場価格が低迷している。そこで、葉ネギの高品質化のために、水分制御が可能な毛管水耕方式について栽培方法を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 毛管水耕装置は、市販の花きカーネーション用を一部改良し、中央湛液槽上面の空き面積を少なくして栽植本数を増加させ、ベッドを水平にして生育を揃える。生育途中から湛液槽水位を下げ水分を制御する(図1)。
- 7月まき栽培で、湛液槽水位を−1〜−2cmにすると、生育が湛液水耕に比べてやや遅れるが、葉色が濃く品質の向上がみられ、葉先枯れも少なくなる。また、収穫後の重量減少、葉先の黄化は、毛管水耕が湛液水耕に比べて少なく日持ち性が向上する(表1)。
- 水位低下開始時期が草丈20〜40cmの範囲では、葉ネギの生育、品質は差が小さい。生育後半の葉先枯れは、水位低下を草丈20〜30cmから開始すると湛液水耕と同程度に少なくなる(表2)。
- 培養液の供給を60分〜120分間隔に15分とすると、生育の抑制、葉先枯れの発生を少なくできる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 湛液水耕に比べて、葉ネギの品質が向上し市場での高単価が期待できる。また、土耕栽培に比べて年間の作付が5作と多く、養液栽培における経営安定が期待できる。
- 生育を揃えるために、栽培ベッドの水平には特に注意する。
[その他]
研究課題名 : 葉ネギの毛管水耕栽培技術の確立
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成8〜10年度
研究担当者 : 森下年起、神藤 宏、平田 滋
発表論文等 : 毛管水耕における湛液水位の低下が葉ネギの生育・品質に及ぼす影響、園芸学会近畿支部大会要旨、17、1997.
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