- [要約]
- 島根県に自生するイワギリソウ種子の発芽適温は20℃で、発芽には光が必要である。育苗用土としてはマサ土、ピートモス、パーライトの等量配合が優れ、鉢上げ時の基肥は被覆複合肥料100日または140日タイプを窒素成分で0.3〜0.4g/リットル施用する。春、秋季は40%、夏季は70〜85%遮光下で栽培する。
島根農業試験場・園芸部・野菜花き科
[連絡先] 0853-22-6650
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専門] 栽培
[対象] 花き類
[分類] 普及
-
[背景・ねらい]
- イワギリソウはイワタバコ科の宿根草で、本県では極めて限られた地域に自生しており、しまねレッドデーターブックでは要保護種に選定されている。セントポーリアに似た草姿のイワギリソウは鉢物として園芸化が可能と考えられたので、自生地の環境条件を明らかにするとともに、増殖、栽培方法及び活用方法について検討し、地域特産物としての振興を図る。
[成果の内容・特徴]
- イワギリソウの自生地は、北〜北西に面した切り立った岩肌の苔むしたところで、直射がほとんど当たらない庇陰下である。
- 自生地での開花は5月下旬から6月中旬で、8月下旬には結実する。
- 種子の発芽適温は20℃で、発芽には光が必要である(図1)。
- 播種用土は、メトロミックスとバーミキュライトの等量配合とする。
- 本葉6〜10枚時に9cmポットに鉢上げする。用土はマサ土、ピートモス、パーライトの等量配合とする(表1)。基肥には被覆複合肥料の100日または140日タイプを用い、用土1リットル当たり窒素成分で0.3〜0.4gを施用する(表2)。
- 春、秋季は40%、夏季は70〜85%遮光下で栽培する(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 栽培は全期間雨よけハウス程度の施設で可能である。
- ハウス栽培では5月に開花株の販売が可能となる。
- 種子が微細で初期生育が緩慢なため、葉片培養苗の利用が有効である。葉片培養技術については、当場生物工学科によってすでに確立している(平成9年度近畿中国農業研究成果情報)。
[その他]
研究課題名 : 中山間地域活性化のための山野植物資源の園芸化および利用技術の確立
予算区分 : 地域重要新技術
研究期間 : 平成10年度(平成7〜10年)
研究担当者 : 稲村博子
発表論文等 : 数種の山野草の発芽における温度と光の影響、園芸学会中四国支部要旨、36号、48、1997.
目次へ戻る