- [要約]
- ササユリの球根養成は、りん片培養した小球を、マサ土にピートモスまたはバーク堆肥を等量配合した用土に植え付け、被覆複合肥料(180日タイプ)を窒素成分で用土1リットル当たり0.1gを基肥として施用し、半日程度40%前後の遮光下で栽培する。
島根農業試験場・園芸部・野菜花き科
[連絡先] 0853-22-6650
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専門] 栽培
[対象] 花き類
[分類] 普及
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[背景・ねらい]
- ササユリは清楚な姿と、強い芳香が人気の山野草であるが、近年山里では減少が著しい。また、栽培が難しく、切り花として出荷されているものはほとんどが山採りされたものである。そこで、ササユリの栽培技術を確立し、地域の特産物として振興を図る。
[成果の内容・特徴]
- ササユリの自生地は、西〜北向きの30度以上の急斜面で、pHは5前後、ECは0.03〜0.04mS/cmと低く、腐植含量は3%前後、日照条件は40%遮光のハウスと同程度である。
- 球根植え付け時にホーマイ200倍液30分間、あるいは紙粘土を混合した溶液に浸漬後、植え付けると生存率が向上する(図1)。
- 植え付け用土には、マサ土にピートモスまたはバーク堆肥を等量配合したものが適当である(表1)。
- 基肥には被覆複合肥料180日タイプを用い、用土1リットル当たり窒素成分で0.1g施用するのが適当である。施用量が多くなると球根の腐敗率が高まる(表2)。
- 球根養成期間は、遮光率40%程度の資材で遮光するが、ハウスの全面を遮光するのではなく、南側遮光、北側遮光、側面遮光等、半日程度は直射が当たるような遮光方法にする。無遮光や全面遮光では球根の肥大、開花率が劣る(表3)。
- 2年間球根を養成すると、3年目には60%以上が開花する。
[成果の活用面・留意点]
- 球根は、りん片培養球を用いる。りん片培養技術は、当場生物工学科によってすでに確立している(平成7年度近畿中国農業研究成果情報)。
- 球根養成後の栽培(3年目以降)は、40%の終日遮光で品質が優れる。
[その他]
研究課題名 : 中山間地域活性化のための山野植物資源の園芸化および利用技術の確立
予算区分 : 地域重要新技術
研究期間 : 平成10年度(平成7〜10年)
研究担当者 : 稲村博子
発表論文等 : ササユリの栽培に関する研究(第1報)自生地の環境条件と生育状況、園芸学会雑誌、第66巻別冊2、580-581、1997.
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