オドラータ台木の緑枝折り曲げによるロックウールバラの増収技術


[要約]
ロックウール栽培の切り花バラ‘ローテローゼ’において、オドラータ台木に切り接ぎした苗を用い、台木基部から発生した緑枝を折り曲げて同化枝とすると、自根の挿し木苗よりも切り花本数が増加するとともに切り花長が長くなる。
広島県立農業技術センター・園芸研究部
[連絡先] 0824-29-0521
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専門]    栽培
[対象]    花き類
[分類]    普及

[背景・ねらい]
 ロックウール栽培の折り曲げ整枝法を用いた切り花バラ生産において,収穫本数を増加させるための技術が求められている。そこで,接ぎ木苗を用いて同化枝に穂木部の緑枝のみでなく、台木基部から発生する緑枝も折り曲げて同化枝とする「台芽折り曲げ整枝方法」によって収穫本数を増加させる。

[成果の内容・特徴]

  1. 2年間の1株当たりの収穫本数は、ハイラック仕立ての場合、オドラータ台木苗が自根苗より11%多い。さらに、オドラータ台木の緑枝を折り曲げることによって、自根苗より19%増加する。アーチング仕立ての場合、それぞれ26%、35%増加する(図1)。
  2. 切り花長が80p以上の割合は、ハイラック仕立ては、オドラータ台木苗が自根苗よりも9%高い。また、オドラータ台木の緑枝を折り曲げることによって、自根苗より19%高くなる。アーチング仕立ての場合、それぞれ6%、13%高くなる(図2)。
  3. 切り花長および切り花重は、オドラータ台木苗が自根苗よりも仕立て方法に関わらず大きい。また、台木の緑枝を折り曲げることによって、さらに大きくなる(表1)。
  4. 以上の結果から、オドラータ台木から発生する緑枝を折り曲げて同化枝とすることによって、収穫本数が増加するとともに単価の高い80p以上の切り花割合が高くなるので、生産者所得が向上する。

[成果の活用面・留意点]

  1. 台木基部から折り曲げるオドラータの緑枝の数は、過繁茂を防ぐために2本とし、長さは80p程度で剪定する。
  2. 本技術は、ノイバラ台木では収量が低下するため、適用できない(データ省略)。

[その他]
研究課題名 : 有望花きによる企業的経営体を育成する周年就業体系の確立
予算区分    : 県単
研究期間    : 平成9〜10年度(平成8〜11年)
研究担当者 : 梶原真二、勝谷範敏
発表論文等 : 台木の種類および仕立て方法がロックウール栽培における切り花バラの収量に及ぼす影響、園芸学会雑誌、67巻別冊2、445、1998.
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