- [要約]
- トルコギキョウの切り花は、収穫後に23℃の室内に静置した場合には25時間で相対重量93%に減少し萎凋する。その回復のための吸水に60℃温湯を用いることにより、相対切り花重量は93%の状態から、1時間で105%に回復する。
和歌山県農林水産総合技術センター・暖地園芸センター ・園芸部
[連絡先] 0738−23−4005
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専門] 栽培
[対象] 花き類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
- トルコギキョウの切り花は、水揚げのよい花であるが、栽培ほ場で収穫した調整前の切り花は、重量損失が進んで萎凋状態にあり、吸水による回復には時間を要する。また、収穫調整に未成熟な花芽の切除を行うが、この作業は萎凋状態から回復した切り花の方が効率がよい。その改善方法として、切り花後の重量損失の進み方と、その回復への温湯水揚げの効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 切り花後は、温度23±1℃、相対湿度60〜90%の室内で、新聞紙にくるんで静置する。温湯は、バケツ内に温度調節器付きセンサーで制御した投げ込み式ヒータと、撹拌用の水中ポンプを入れて60℃になるように調節する。
- 室内静置状態では、切り花は時間の経過とともに萎凋が進む。相対切り花重量は、25時間の静置後93%程度に減少する(図1)。
- 25時間静置後の切り花は、60℃温湯による吸水により、1時間で相対重量105%となり、萎凋状態から回復する(表1)。
- 切り花直後の水揚げでは、60℃温湯での22時間吸水後の相対切り花重量は、116.6%で常温水より多く、静置による重量損失後も106.9%となり、切り花はみずみずしい状態を保つ。また、生け花後の花持ちに差は認められなかった(表2、3)。
[成果の活用面・留意点]
- 温湯に浸漬する深さは、5p程度で切り口がつかればよい。また、60℃の温湯では、浸漬した茎部は褐変する。
- より効果的な水温と浸漬時間の検討が必要である。
[その他]
研究課題名 : トルコギキョウの産地拡大技術開発(鮮度保持技術)
予算区分 : 県単
研究期間 : 平成10年度(平成10〜14年)
研究担当者 : 上山茂文、伊藤吉成、上島良純
発表論文等 : トルコギキョウ切り花の温湯による水揚げについて、園芸学会雑誌、第67巻(別2)、455、1998.
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