パンジーの小型容器栽培における開花促進技術


[要約]
パンジーの小型容器栽培では、従来の9pポットより開花が遅れる傾向にあるが、エブアンドフローで給水すると、開花遅延が軽減できる。ポット栽培時にわい化剤処理した株は、出荷時のジベレリン10ppm処理で、定植後の開花数が増加する。
京都府農業総合研究所・花き部
[連絡先] 0774-62-0048
[部会名] 野菜・花き(花き)
[専門]    栽培
[対象]    花き類
[分類]    研究

[背景・ねらい]
 花壇用苗物では、生産量が増えるに従い、低価格化の傾向にある。その対策として、従来の9pポットより小さな6pポットなどを用いて、単位面積当たりの生産量を増やすことが考えられる。小型容器栽培の課題の一つとして、パンジーのポット栽培時、花壇定植後の開花促進技術について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 鉢上げ4週間後の地上部乾物重は、6pポットでは9pポットの約65%しかなく、明らかに小さくなる。開花はポットサイズが小さいほど遅れ、6pポットの開花株率80%の到花日数は9pポットより11日遅れる(表1)。
  2. エブアンドフローによる底面給水は、手かん水による頭上給水に比べると、いずれのポット サイズでも、開花が早まる傾向にある(図1)。
  3. 草姿改善のためのわい化剤処理では、パクロブトラゾール処理で開花抑制の程度は小さく、草姿改善ができる。ウニコナゾール処理では、わい化効果が強く、開花抑制が著しい(表2)。
  4. パクロブトラゾール処理をした株に、ジベレリン10ppmを花壇定植前(出荷時)に処理すると、ジベレリン無処理区に比べ、1月下旬までの開花数が増加する傾向にあり、特に6p深型ポットで多くなる。わい化効果の強かったウニコナゾール処理では、ジベレリンの効果は明らかでない(表2)。

    [成果の活用面・留意点]

    1. エブアンドフロー給水によって、かん水が省力化でき、さらに開花が促進できる。小型容器では過湿になりやすいので、従来よりかん水間隔を長くするなどの対策が必要である。
    2. わい化効果が強すぎると、ジベレリンの効果が期待できないため、ウニコナゾール処理は避ける。

    [その他]
    研究課題名 : 小型容器による花壇用苗物の需要拡大のための高位生産と軽作業化技術の確立
    予算区分    : 地域重要(国補)
    研究期間    : 平成10年度(平成9〜11年)
    研究担当者 : 末留 昇
    発表論文等 : パンジーの小型容器栽培における生育・開花、園芸学会近畿支部兵庫大会発表要旨、20、1998.
     
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