水稲作業受託料金の設定支援ツール
- [要約]
- 水稲作業受委託にともなう料金設定時において、ほ場条件や受託農家の意向を反映させた料金設定を支援するツールを作成した。これにより受託農家の意向を尊重した作業料金の設定が容易になる。
岡山県農業総合センター農業試験場・経営調査研究室
[連絡先] 08695-5-0271
[部会名] 営農(情報研究)
[専 門] 情報処理
[対 象] 稲類
[分 類] 指導
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[背景・ねらい]
- 水稲作業受委託では、条件の悪いほ場を受託する農家の経済的負担が大きく、受託農家に受け入れられやすい作業料金を設定することが求められている。そこで、市販の表計算ソフトを利用してほ場条件や受託農家の意向を反映した料金の設定を支援するためのツールを作成する。
[成果の内容・特徴]
- 作業料金を設定できる作業は「耕起」、「移植」、「刈取」、「全面作業」の4種類である。作業料金の算出に当たっては、受託農家の意向を反映させたほ場条件に関する項目を取り入れ、それらを任意に取捨選択できる(図1)。
また、作業料金の設定では上限額と下限額を任意に設定できるとともに、ほ場の評価は金額だけでなく、任意に設定したほ場のランクでも表示が可能である(図2)。
- 操作は、前提条件の設定とほ場情報の入力に分かれる。前提条件の設定では、(1)該当作業の標準価額の入力、(2)上限額と下限額を設定するためのウェイト値の設定、(3)受託ほ場面積の入力、(4)受託ほ場ランクの表示段階の入力(図1)、(5)受託農家の意向を反映させた項目の選択である(図1)。ほ場情報については(6)「受託農家」欄および「斡旋管理者」欄への入力を行い、(7)「ほ場ランク表示」をクリックすると受託ほ場10a当たりの作業料金と任意で設定した段階でのほ場のランクの結果が表示される(図2)。
- 作業料金の算出方法は、たとえば、ほ場条件に関する項目がすべて「良い」と評価された場合、各項目の「評価点(1)」を合計値で除し、各条件の全体に占める百分率(3)を算出する。これに評価「良い」のウェイト値を乗じた数値を条件別に計算して合計値(3)+(4)を算出する。そして、これをすべての条件が良い場合にどこまで値引きできるかという「下限基準値」とする。そして、調整後の料金は、あらかじめ設定した「標準価額」に、下限基準値を「普通」のウェイト値で割ったものの逆数を掛けて算出する。これが「割引下限価額」すなわち「作業料金調整額」となる(図3)。
[成果の活用面・留意点]
地域条件に応じ、受託者の意向をふまえて「評価点」を設定する必要がある。
[その他]
研究課題名:水田条件別農作業受委託の成立条件
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成9〜11年)
研究担当者:喜井 啓、坂本定禧
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