ウンシュウミカンの薬剤による全摘果の省力化と翌年の果実生産


[要約]
ウンシュウミカンの着果過多樹に満開後20日目頃フィガロンにエスレルを加用して散布することにより、全摘果の省力化が図られる。また、翌年は十分に着花・果して果実生産を行うことができる。
広島県農業技術センター果樹研究所・常緑果樹研究室   
[連絡先]0846-45-1225                                                                     
[部会名]果樹      
[専  門]栽培  
[対  象]果樹類   
[分  類]普及

[背景・ねらい]
 近年、ウンシュウミカンは豊作と不作を交互に繰り返し、隔年結果がますます激しくなっている。不作年の生産量を確保するためには、豊作年に一定面積の遊休園(又は樹)を設定して、翌年の生産量を確保する必要がある。そこで、ウンシュウミカン着果過多樹の幼果期に、薬剤による全摘果の省力化と翌年の果実生産を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 32年生宮川早生の新葉率30%と5%を用い、摘果剤(フィガロン1000倍+エスレル2000倍及びフィガロン1000倍+マシン油乳剤150倍)を満開後20日目に散布した。10a当たり薬量は葉先からしたたり落ちる程度(400L)である。
  2. 落果率は新葉率に関係なく、フィガロンにエスレル加用散布樹でほぼ100%であるが、落葉率も約30%と高い(表1)。
  3. 残果の摘果時間は、対照(手による全摘果)が樹当たり1時間弱であるのに対し、エスレル加用散布樹では約2分と全摘果の省力化が図られる(表2)。
  4. 夏秋梢はいずれでも発生するが、エスレル加用散布樹ではやや少ないものの、平均長において差が認められない(表2)。
  5. 全摘果樹の翌年の着花指数は5と極めて花が多い(表3)。
  6. 着果は葉果比14〜19と良好であり、収量はいずれも樹当たり100s以上である(表3)。
  7. 以上の結果、ウンシュウミカンの着果過多樹に満開20日目頃フィガロンにエスレルを加用して散布すると、全摘果の省力化が図られるとともに翌年着花・果して果実生産が可能となる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 豊作年のウンシュウミカン着花(果)過多樹の全摘果の省力化と不作年の生産量確保対策に活用できる。
  2. 全摘果の効果を高めるには、薬剤散布後25℃以上高温の続くことが望ましい。

[その他]
研究課題名:薬剤によるウンシュウミカンの全摘果について
予算区分  :県単
研究期間  :平成12年度(平成11〜12年)
研究担当者:中谷宗一、川ア陽一郎* * 専門技術員) 
発表論文等:なし

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