ブドウ「ピオーネ」の根域制限栽培法における主枝のせん定基準
- [要約]
- 根域制限栽培のブドウ「ピオーネ」で主枝拡大を行うには、生育期間中に伸長した結果枝および主枝延長枝から発生した本葉総数の18%、すなわち50節に対し9結果枝を発生させる主枝のせん定を行えば、高品質果実生産を行いながら早期に成園化できる。
広島県立農業技術センター・果樹研究所・落葉果樹研究室
[連絡先] 0846-45-1225
[部会名] 果樹
[専 門] 栽培
[対 象] 果樹類
[分 類] 普及
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[背景・ねらい]
- ブドウの密植型根域制限栽培においては、根の広がりは樹冠面積の5分の1で良いことをすでに明らかにした。数年をかけて樹冠を拡大し成園化する際には、主枝延長法を基準化することで栽培法が均一化されるとともに成園化までの年数が予測可能となる。そこで、主枝延長程度の違いが、樹生育と果実形質に及ぼす影響について検討し、好ましい主枝延長法を基準化する。
[成果の内容・特徴]
- 定植1年目の土量は、0.11m3 とし、2年目以降の根域面積は、翌年の結果枝および主枝延長枝の合計樹冠面積の5分の1(深さ25cm)となるように秋期に土を加える(図1)。かん水はテンシオメータを用いた自動とする。主枝延長枝以外の結果枝は12節で摘心し、1新梢当たり1果房を着果させる。
- 定植2年目から果実生産が可能で、未収益期間が短い。
- 成園化までの定植後年数は、栽植間隔(株間)6mの場合、一文字型整枝では、主枝ごとの前年の本葉枚数50枚に対して9果房を着果させると3年、6果房を着果させると4年、H型整枝では9果房及び6果房を着果させるとそれぞれ4年、5年となる(表1)。
- 成園時の収量は、2.7トン/10aであり、一般の成園に比べ、高収量となる(表2)。
- 収穫果実の糖度は出荷基準の17%を上回る(表3)。
- いずれの区でも、着果負担による樹体の衰弱は見られない(データ省略)。
- 以上のことから、主枝ごとの前年の本葉枚数50枚に対して9結果枝を発生させるせん定を行うと良い。
[成果の活用面・留意点]
- 根域制限栽培は、自動かん水施設が必須である。
- 培養土は、目の粗いマサ土を用いる。
[その他]
研究課題名:大規模ブドウ園の改植技術の開発
予算区分 :単県
研究期間 :平成12年度(平成8〜12年)
研究担当者:加藤淳子、赤阪信二、今井俊治*(*現広島県農林水産部農産課)
発表論文等:定植1から3年目の樹生育については、J.ASEV Jpn.Vol.10 No.3で発表。
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