仕上げ摘果時期遅延によるモモ「清水白桃」の生理的落果軽減技術


[要約]
モモ「清水白桃」の仕上げ摘果を慣行の満開後50日頃から20日程度遅らせ、子葉胚縦径が5mm以上になった時期以降に行うことで、果実品質を低下させることなく生理的落果を軽減できる。
和歌山県農林総合技術センター・果樹園芸試験場・紀北分場
[連絡先]0736-73-2274
[部会名]果樹
[専  門]栽培
[対  象]果樹類
[分  類]普及

[背景・ねらい]
 モモ「清水白桃」では、袋かけ後の6月下旬〜7月上旬を中心に生理的落果が多く発生するため、生産が不安定になっている。しかし、落果要因は、十分に解明されておらず現在のところ適切な落果防止策はない。そこで、落下する果実、特に子葉胚の発育程度を調べることにより、生理的落果軽減可能な仕上げ摘果時期を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 6月下旬から7月上旬の生理落果は、満開後40〜60日頃にかけて側径が旺盛に肥大し、子葉胚が5mm未満で発育を停止した核割れ果に多い(図1表1)。
  2. 仕上げ摘果時期を慣行の満開後50日頃から子葉胚の縦径が5mm以上に発育した時期以降に遅らせることで、落果が軽減できる(表1)。
  3. 子葉胚の発育時期は年により異なる。特に、開花後が高温で推移した年には胚の発育は早まる(図2)。そのため、満開後60日頃から定期的に果実を採取して胚の発育状況を調べ、摘果時期を決める。
  4. 仕上げ摘果を6月中旬に遅らせることによる果実品質への影響は認められない(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. モモ「清水白桃」の生理的落果軽減のために有効な仕上げ摘果技術として活用できる。
  2. 摘果前の果実を採取して、胚の発育が停止した核割れ果の発生率から、おおまかな落果量が予測でき、着果量を決める際の参考になる。
  3. 予備摘果の程度および回数、落果多発年での効果の検討が必要である。

[その他]
研究課題名:「清水白桃」の生理的落果軽減対策
予算区分  :県単
研究期間  :平成12年度(平成4年〜12年)
研究担当者:和中 学
発表論文等:園芸学会平成13年度春季大会発表

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