ウメ「南高」の着果過多と夏期の土壌乾燥による樹勢低下
- [要約]
- 冬季の間引きせん定による着果過多と夏期の土壌乾燥は、ウメの樹勢低下の要因となり、これらの相乗作用により樹勢は数年で著しく低下する。
和歌山県農林水産総合技術センター・暖地園芸センター・うめ部
[連絡先]0738-23-4005
[部会名]果樹
[専 門]栽培
[対 象]果樹類
[分 類]指導
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[背景・ねらい]
- 近年、県内で多発しているウメの生育不良は、間引きせん定(弱せん定)による着果過多と夏期の干ばつの影響が大きいものと考えられる。このため、再現試験により着果過多と夏期の土壌乾燥がウメの樹勢に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 農家ほ場の樹勢の異なる16樹を調査したところ、根の健全度は樹勢との間に高い正の相関がみられる(図1)。
- 根の健全度は、冬季の間引きせん定と夏期の土壌乾燥処理によって低下し、主枝先端部直下の根が影響を受けやすい(図2)。
- 樹冠占有面積当たりの徒長枝本数は、冬季の間引きせん定と夏期の土壌乾燥処理を組み合わせることで減少する(図3)。
- 樹冠占有面積当たりの収量は、冬季の間引きせん定と夏期の土壌乾燥を組み合わせることにより増加する(図4)。
- ウメ「南高」の樹勢は、冬季の間引きせん定と夏期の土壌乾燥により低下する。
[成果の活用面・留意点]
- 根の健全度は、樹勢評価指標として使用できる。
- 切返しせん定と、夏期の土壌乾燥防止の普及が肝要である。
[その他]
研究課題名:地域特産果樹の樹勢強化による安定生産技術の確立
予算区分 :農林水産新技術実用化型
研究期間 :平成12年度(平成9〜13年)
研究担当者:岩尾和哉、大江孝明、中山幹朗、木村 学、嶋田勝友、菅井晴雄
発表論文等:なし
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