ウメ「南高」における夏期施肥窒素の吸収と移行
- [要約]
- ウメ「南高」では、果実及び新梢成長期の施肥窒素が樹体への吸収移行に優れ、翌年発生する新生器官中の窒素量の約10%を占めるため、5月施肥が優れる。
和歌山県農林水産総合技術センター・暖地園芸センター・うめ部
[連絡先]0738-23-4005
[部会名]果樹、生産環境(土壌肥料)
[専 門]肥料
[対 象]果樹類
[分 類]指導
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[背景・ねらい]
- ウメの高位安定生産技術を確立する一環として、適正な施肥法を明らかにするため、平坦地水田転換園(灰色低地土)植栽のウメ「南高」7年生3樹を用いて、5月、6月施肥(30日間pF3.0以下)と、現地で頻発する干ばつを想定した8月施肥(30日間降雨遮断)の施肥窒素(15N)の吸収と移行について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 5月7日施肥は、いずれの器官においても施肥窒素寄与率(全窒素に占める施肥窒素の割合)が葉の8.5%〜細根の11.1%と6月7日、8月6日施肥より高く、樹体への吸収に優れる。また、収穫時(1999年6月22日)の果実の施肥窒素寄与率も施肥60日後で9.5%と高い。8月6日施肥では、施肥30日後で最も高い葉においても1.6%と低く、シートマルチ除去後の施肥60日後でも細根の6.6%以下と低く、吸収が劣る(図1)。
- 5月施肥は、翌年発生する新生器官(果実・葉・新梢・細根)の施肥窒素寄与率が約10%と6月・8月施肥より高く、移行に優れる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 夏期の施肥は、梅雨明け後は樹体への吸収移行が劣るので、果実及び新梢成長期の5月に吸収されるよう施用する。
[その他]
研究課題名:ウメ生育不良対策総合技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成9〜15年)
研究担当者:佐原重広、菅井晴雄、鯨幸和(果樹園芸試験場)
発表論文等:なし
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