傾斜地果樹園での地被植物のジャノヒゲに対する除草剤の影響


[要約]
地被植物のジャノヒゲはグルホシネート液剤及びジクワット・パラコ−ト液剤により茎葉に一時的な枯れ込みを起こすが、散布後50〜60日で処理時の状態まで回復する。グリホサートイソプロピルアミン塩液剤ではほとんど茎葉に変化が見られない。
大阪府立農林技術センタ−・栽培部・果樹室
[連絡先] 0729-58-6551
[部会名] 果樹
[専  門] 雑草
[対  照] 緑化植物
[分  類] 指導

[背景・ねらい]
 大阪府の果樹産地でも担い手の高齢化が深刻で、軽作業化のために傾斜地園での階段状足場の設置を検討しており、足場の崩壊防止には地被植物の利用が有効である。しかし、ほとんどの果樹園においては雑草管理に除草剤が使用されているので、地被植物を残すために、一般的に使用される茎葉処理剤の地被植物に対する影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. ジャノヒゲを栽植したほ場においてグルホシネート液剤及びジクワット・パラコ−ト液剤、グリホサートイソプロピルアミン塩液剤を散布することにより(表1表2)、 夏期の一年草雑草が抑制できる(表3)。
  2. グルホシネート液剤によるジャノヒゲの枯れ込みは30%程度で、散布後30日で再生が始まり(表3)、土壌の流亡は見られない。
  3. ジクワット・パラコ−ト液剤ではジャノヒゲの枯れ込みは他の2剤より大きいが、再生の開始が早く(表3)、処理時の草量にまで回復する間の土壌の流亡はみられない。
  4. グリホサートイソプロピルアミン塩液剤ではジャノヒゲは散布後10〜20日に葉がわずかに黄化する程度で、その後は正常な生育がみられる(表3)。
  5. ジャノヒゲを階段状足場の肩部分に裁植したほ場(斜度20度、黄色埴壌土)において、春期はグルホシネート液剤、夏期はグリホサートイソプロピルアミン塩液剤による慣行除草を行うと、3年後の生育は被度が植え付け時より増加し、足場の崩壊もない(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 試験を行った薬量の範囲ではグルホシネート液剤及びグリホサートイソプロピルアミン塩液剤の使用はジャノヒゲの維持に問題ないと考えられ、傾斜面の土壌流亡防止や路肩の保護に広く有効である。

[その他]
研究課題名:農業経営基盤強化技術緊急開発事業
予算区分  :府単
研究期間  :平成12年度(平成12年度)
研究担当者:加藤彰宏
発表論文等:なし 

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