ニホンナシ「新高」の8月上旬出荷技術の開発
- [要約]
- ニホンナシ「新高」において、1月中旬に0.7%シアナミド液を散布すると同時に、4月下旬まで加温栽培すると、露地栽培より約80日間早い8月上旬出荷が可能になる。
岡山県農業総合センター・農業試験場・北部支場・永年畑作研究室
[連絡先] 0868-57-2758
[部会名] 果樹
[専 門] 栽培
[対 象] 果樹類
[分 類] 研究
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[背景・ねらい]
- 8月上旬は贈答用果物の需要が多く、他の時期より有利販売が可能である。そこで、外観、品質ともに優れ贈答用需要に適したニホンナシ「新高」を加温栽培し8月上旬に出荷する技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 発芽を促進するため1月中旬に0.7%シアナミド液を樹体に散布すると同時に、最高気温約20℃、最低気温約15℃に加温すると、露地より約70日早い2月中旬に開花する(表1)。
- 満開後2週間は変形果の発生を抑制するため最低気温を約5℃に下げ、その後は最高気温約25℃、最低気温約20℃で4月下旬まで加温すると、露地より約80日早い8月上旬に成熟する(表1)。
- 加温作型の果実重は露地と比べて大差ないが、果形がやや縦長である(表2)。
- 裂皮果発生率は加温作型の方が少なくなる(表2)。
- 加温作型の果実糖度は露地と比べて大差ないが、果実硬度がやや高くなる(表2)。
- 加温作型は降雨が遮断され病害発生が少ないため農薬散布回数が少ない(表3)。
- 加温作型の生産に要する資材費および減価償却費は10a当たり約175万円で、果実1個当たりでは約420円となる(表4)。
- 図1 [具体的データ]
[成果の活用面・留意点]
- 休眠覚醒が不十分なうちに加温すると、発芽が悪く生育が劣る。
- 現時点では休眠覚醒時期の正確な予測法が確立されていない。
- 開花後の気温が高すぎると、変形果の発生が助長される恐れがある。
- 早期加温作型を連年実施すると、樹勢が低下する恐れがある。
[その他]
研究課題名:新高ナシの超早期出荷技術開発
予算区分 :県単
研究期間 :平成12年度(平成10〜14年)
研究担当者:安井淑彦、各務裕史、藤沢敏寛
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