短梢せん定栽培における4倍体ブドウの結実特性の品種間差異
- [要約]
- 短梢せん定栽培におけるジベレリン処理の有無による、4倍体ブドウの結実特性(有核果および無核果の着粒の多少)には品種間差異があり、5品種が有核果生産に適し、6品種は無核果生産に適する。
滋賀県農業総合センター農業試験場 花き・果樹分場
[連絡先]077-558-0221
[部会名]果樹
[専 門]育種
[対 象]果樹類
[分 類]研究
-
[背景・ねらい]
- 本県では、短梢せん定栽培における4倍体ブドウのジベレリン(以下GA)処理による無核果生産が増えている。しかし、品種により結実性、着色、品質等の問題点があり、結実特性に応じた安定生産技術の確立が望まれている。
- そこで、11品種について、短梢せん定条件下でのGA処理の有無による結実特性の品種間差異について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 有核果生産では、開花前に花穂の中段で約7.5cmに整房し、結実後約30粒に摘粒する。無核果生産では、花穂先端約4.5cmを残して整房し、結実後30〜35粒程度に摘粒する。
- 「竜宝」、「紅伊豆」、「藤稔」、「紅瑞宝」および「紅富士」は、無処理区の有核果率が高く、「紅瑞宝」および「紅富士」は着粒数がやや劣るが、これら5品種は有核果生産が可能な品種である(表1、図1、図2)。
- 「ピオーネ」、「巨峰」、「ブラック・オリンピア」、「高妻」、「高墨」および「安芸クイーン」は、無処理区の有核果率が70%以下で低く、GA処理区の無核果率が95%以上と高く、GA処理による無核果生産に適する品種である(表1、図2)。
- GA処理により着粒数が多くなるため、果房重は重くなるが、果粒重および糖度は無処理区よりやや劣り、果皮色は赤色品種で淡くなる傾向にある(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 4倍体ブドウの有核果生産では、窒素過多を避け、適正な樹勢を保つ。
- 供試した11品種において、現在、GAは「ピオーネ」、「巨峰」および「安芸クイーン」に、フルメットは「ピオーネ」および「巨峰」に使用登録がある。
- 有核果、無核果生産における「紅瑞宝」および「紅富士」の整房は、花穂を他の品種より長く残して着粒数を確保する。
[その他]
研究課題名:ブドウ4倍体品種の安定生産
予算区分 :県単
研究期間 :平成11年度(平成5〜12年)
研究担当者:蒲生英美、北出知宏
発表論文等:短梢せん定条件下の4倍体ブドウにおける結実性の品種間差異、近畿中国農研、99:71−75、2000.
目次へ戻る