ウメの着果負担による新梢および細根の減少
- [要約]
- ウメの幼木では、4月以降の着果数が多いと、新梢や細根の新生栄養器官に占める乾物割合が低くなり、徒長枝発生本数も減少する。成木では、樹冠占有面積当たりの着果数が70果/m2 以下で前年に比べて徒長枝数が増加する。
和歌山県農林水産総合技術センター・暖地園芸センター・うめ部
[連絡先]0738-23-4005
[部会名]果樹
[専 門]栽培
[対 象]果樹類
[分 類]研究
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[背景・ねらい]
- 和歌山県における平成12年度のウメの収量は、約1.6t/10aと和歌山県以外の400kg/10aに比べて大幅に多い。そのため、着果負担が本県でみられるウメの樹勢低下要因の一つと考えられている。そこで、結果幼樹を用い着果数と新生栄養器官に占める細根や新梢の乾物重割合および徒長枝本数について、成木で着果密度と樹勢の指標の一つである徒長枝発生本数の増減について検討する。
[成果の内容・特徴]
- ウメ「南高」3年生樹を用い、新生栄養器官(葉、新梢、細根)の乾物重に占める新梢および細根の割合と時期別の果実数との関係を検討した結果、4月から6月の着果数と新梢および細根乾物割合との間に有意な負の相関がみとめられる。また、4月以降の果実数と葉中窒素含有率との間に有意な正の相関がみとめられる(表1)。
- 樹冠占有面積当たりの着果数と徒長枝発生本数との間には有意な負の相関がみとめられる(図1)。
- 15年生樹での樹冠占有面積当たりの着果数と徒長枝発生本数の前年との差の間には、有意な負の相関がみとめられる。着果密度が70果/m2 以下では、徒長枝発生本数が前年に比べて増加する(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- ウメ「南高」の適正着果指標の基礎資料として活用できる。
- 樹勢が弱く着果数が多い樹では強せん定などで着果数を制限し、新梢や細根の発生を促すよう努める。
[その他]
研究課題名:地域特産果樹の樹勢強化による安定生産技術の確立
予算区分 :農林水産新技術実用化型
研究期間 :平成12年度(平成9年〜13年)
研究担当者:岩本和也
発表論文等:なし
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