水稲の減肥料栽培による低タンパク質米生産技術


[要約]
「コシヒカリ」、「祭り晴」において基肥減肥+出穂45日前中間追肥+出穂20日前頃穂肥1回での減肥料栽培は、慣行栽培に比べて収量はやや低下する(減収率10%以内)が、白米の低タンパク質化(0.5ポイント以上低下)が図られる。
京都府農業総合研究所・作物部
[連絡先]0771-22-5010
[部会名]作物生産(育種・栽培)
[専  門]栽培
[対  象]稲類
[分  類]普及

[背景・ねらい]
 近年、米消費の減少傾向、米在庫量の増大及び消費者の良食味指向を受けて、良食味米をめぐる産地間競争は、ますます激化しつつある。米の食味関連成分は品種や栽培条件等に影響され、京都府産米の産地競争力を向上させるには、ある程度の生産性を維持しつつ、白米中のタンパク質含有率を低下させ、食味を向上させる栽培技術の確立が重要である。
 そこで、京都府主要品種である「コシヒカリ」と「祭り晴」の2品種において収量を出来るだけ確保し(減収率10%以内)、低タンパク質化(白米中の粗タンパク質含有率(CP)で0.5ポイント以上低下)を進めるための減肥料栽培での施肥方法について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「コシヒカリ」、「祭り晴」において施肥体系を基肥減肥+出穂45日前中間追肥+出穂20日前頃穂肥1回とし、総N成分量を慣行区(10a当たりN成分施肥量で、基肥4.2kg+穂肥1.7kg×2回:コシヒカリ、2.55kg×2回:祭り晴、計7.6kg:コシヒカリ、9.3kg:祭り晴)の73〜80%に減肥した減肥料栽培(中間追肥区)は、慣行区に比べて、CPが0.5ポイント以上低下し、減収率は10%以内である()。
  2. 品種毎の10a当たりN成分施肥量は、早生品種の「コシヒカリ」では、基肥2.0kg+中間追肥2.2kg+穂肥1.7kg、中生品種の「祭り晴」では、基肥2.0kg+中間追肥2.9kg+穂肥2.6kgを目安とする。
  3. 初期生育を抑え、生育中期の肥効を高める中間追肥区は、慣行区における2回目の穂肥を省略または減肥する穂肥減肥区よりも減収率が小さい()。
  4. 出穂期以降の止葉のSPAD値とCPの間に高い正の相関が認められ、中間追肥区は、両品種とも出穂期以降のSPAD値が慣行区よりも低く、CPの低下に有効な施肥法である()。

[成果の活用面・留意点]

  1. 京都府の主要品種である「コシヒカリ」と「祭り晴」の良食味栽培技術として活用できる。
  2. 本施肥法は、京都府中南部地域の5月中旬植で有効である。

[その他]

研究課題名:売れる京都米づくりのための低投入・良食味米生産技術の開発
予算区分  :府単
研究期間  :平成12年度(平成10〜12年)
研究担当者:大橋善之、尾崎耕二

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