大豆品種「サチユタカ」の奨励品種採用
- [要約]
- 豆腐加工用品種として、高蛋白質、良質多収の中晩生品種「サチユタカ」を奨励品種に採用する。
島根県農業試験場・作物部・作物科
しまねの味開発指導センター
[連絡先]0853-22-6650
0855-28-1881
[部会名]作物生産(育種・栽培)
[専 門]育種
[対 象]豆類
[分 類]普及
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[背景・ねらい]
- 島根県の主力品種「タマホマレ」は、品質・収量の安定性をはじめ諸特性に優れた品種であるが、蛋白質含量が低く豆腐加工適性に難がある。国産大豆需要の半分以上は、豆腐・油揚げ原料であること、今後、国産大豆の供給量増加による産地間競争の激化が予想され、ますます用途に応じた品質が重要視されることから、豆腐加工に適した品種の選定は緊急の課題である。
[成果の内容・特徴]
「タマホマレ」と比較した「サチユタカ」の特徴は次のとおりである。
- 開花期は5日程度遅いが、成熟期は同じかやや早く、本県では中晩生に属する(表1)。
- 主茎長はやや短く、主茎節数はやや多く、分枝数はやや少なく、茎の太さはやや太い(表1)。
- 耐倒伏性は「タマホマレ」並みに強く、蔓化、莢先熟の障害は少ない。最下着莢節位高はやや高い(表1、表2)。
- 子実収量は「タマホマレ」より高く、安定して多収である。子実百粒重は5g程度重く大粒である(表1)。
- 紫斑粒の発生は少なく、裂皮粒は同程度に発生し外観品質は同程度である(表2、表3)。
- 子実の粗蛋白質含量が高く、粗脂肪、全糖含量はやや低い。豆腐が堅く、豆腐加工適性が優る(表2、表4)。
[成果の活用面・留意点]
- 県下全域を対象に普及を図る。栽培管理は「タマホマレ」と同様でよい。
- 褐斑粒がやや発生するため、生育初中期のアブラムシ防除を行う。
- 裂皮粒がやや発生するため、極端な早播きは避ける。
- 裂莢し易いので、極端な遅刈りは避ける。
[その他]
研究課題名:大豆奨励品種決定調査
予算区分 :県(主要農作物種子対策事業)
研究期間 :平成12年度(平成9〜12年)
研究担当者:橋本 忍、陶山研治、安原宏宣、松崎一、寺戸秀美
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